投機の流儀 セレクション【vol.255】目先的には売られ過ぎのサインが点灯していた

25日線との乖離率がマイナス5%になり騰落レシオも70%に近づいた。これは昨年3月15日号に「『売って現金で保有しよう』と長期間呼びかけてきたのはこの日に買うためだ」と本稿にしては珍しく買い時だ!と檄を飛ばした時、25日線との乖離率はマイナス20%、騰落レシオは40%だった。 それに比べれば今のマイナス5%の乖離や騰落レシオ70%は「絶対の底値で『コツンと来た』ところだ」というわけではないが、一応の売られ過ぎのサインは出た。8月20日の2万7,000円、9月の2万7,000円台、そして11月末の2万7,500円、ここは短期的なトリプルボトムを形成しているようにも見える。事実、景気敏感株がハ大幅に上げた。松井証券のシニア・マーケットアナリストは「個人投資家の資金余力はまだ高く、今までの下落で押し目買い意欲が高まっていた」と指摘していたという(12月2日、日経新聞証券欄)。
先週半ばの12月1日(水)には小幅ながら反発したが、景気敏感株は大幅に上がった。海運株や鉄鋼株である。一例を景気先行株であり景気敏感株でもある商船三井〈9104〉にとれば、商船三井は今度の所謂「コロナ相場」で約10倍になり、そしてあっという間に4割を下げた。それが12月1日~3日の3日間で17.2%上がった(終値ベースで6,500円→7,620円)。このように個別物色の時代に入っている。11月下旬の「陰の極」で買っておけば6,200円のものが1,400円幅とれたことになる。業界代表の日本郵船でも似たような動きだ。(もっとも、商船三井についてはレーティングの引き上げが木曜日にあったことも大幅高する一つの原因であったろう)

【目次】
第1部 当面の市況
(1)週末から観た当面の市況
(2)掉尾の一振はあるか?
(3)自律反発の範囲
(4)目先的には売られ過ぎのサインが点灯していた
(5)マザーズ7日続落、3ヵ月半ぶりの安値
(6)先週の市況の背景
(7)冷静に見ればコトは単純だ
(8)機械が主導する短期相場をどう見るか
(9)「コツンときた」感じはないが「売られすぎ」のレベルに入った
(10)週末の市況とその深層に在る物
(11)日経新聞・電子版・12月2日・米州総局宮本岳則氏の要約
第2部 中長期の見方
(1)今週6日に召集される臨時国会での所信表明演説の予定原
(2)株式市場と岸田政権
(3)テーパリングと利上げ
(4)来年は政治イベントが多く、株高になりやすい、故にそれを先取りする「年末ラリーはあり得る」という見方
(5)米中のオンライン会談で米中対立姿勢の変化が見えた
(6)円ドル為替相場について――「ニクソンショック以来」
(7)円が50年ぶりの安値に沈んだ背景
(8)三たびトルコリラ安値圏突入の件
第3部 岸田政権と株式市場
(1)岸田政権の経済政策についての早とちりにはご用心
(2)経済対策は「過大だ」が65%
(3)岸田政権の経済政策、雇用調整助成金
(4)宏池会初代総理池田勇人と5代総理岸田文雄――中曽根さんが言った「蛮勇」を持てと言いたい

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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