トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.44】光月湯@入谷

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

#44 光月湯@入谷

いつも飲食店を取り上げることが多いのだが、今回は銭湯だ。といっても、僕が発見したとき、すでにそこは銭湯跡地だった。

かろうじて、「光月湯」という文字が見えた。
新宿から上野に引っ越してきた当時は、とにかく日々歩き、写真を撮った。これを撮影したのは2014年8月28日だ。

コインランドリーが併設されていたようだ。住居表示が入谷二丁目12とある。すぐにスマホで検索してみた。

〈光月湯(台東区入谷)〉

2008年(平成20年)の8月27日で廃業したようだ。
光月湯という、ちょっと素敵な名前の銭湯だけれど、この名前を町の名前からきている。
このあたりはかつて浅草光月町といった。
名前の由来は近くにある2つの寺の名前からきている。
東光院の「光」と燈明寺の「明」の旁(つくり)をとって名付けられたとされている。

近くに「一葉桜 光月通り」という名前の通りがある。

このあたりに材木屋さんが多い。
この説明板を書いているのが、「一葉桜千束入谷振興会」となっている。通りをはさんで、かつては浅草区光月町と下谷区光月町に分かれていた時代があった。
その後、台東区ができたことで、千束2丁目と入谷2丁目が生まれ、光月町は消滅したのだ。

というわけで、現在の光月湯跡はこちら。

「さくらさくみらい」とある。保育園だ。銭湯がなくなり、保育園ができたのだ。
入り口は、以前コインランドリーがあったほうになる。
かつての入り口はこちら。

壁になっている。
かつては、ここが銭湯の入り口で、近隣の人々で賑わっていたが、今は小さな子供を連れたお母さんたちや、孫を連れたおじいさんやおばあさんもいたりする。
再び人々が集まる場所になったのだ。
 
 

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この連載について

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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
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【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。