お地蔵さんぽ【vol.26】一願地蔵尊@六本木

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

一願地蔵尊@六本木

時間があれば徒歩移動するようにしている。
今は便利な時代でGoogleマップで検索すると電車ならこれぐらい、バスならこれぐらいと、その時間をルートとともに教えてくれる。
都内は電車の路線が入り乱れている、乗り換えなどをしていると案外歩いたほうが早いことだってある。
また、電車なら25分、しかし歩けば40分というようなとき僕は迷わず歩く。
もちろん時間がないときは別だが、運動にもなるし、スポーツジムに行くことを考えると、無料で運動できるからいいではないか。
いや、電車賃を使わなくてすむので、むしろプラスだ。

目的地までの電車賃を見て、ひとつ手前の駅で降りたら、安くなるような場合、最寄り駅のひと駅前で降りて歩くこともある。
こうするとこれまで歩いたことのない道を歩けるからだ。
実はそんなときにお地蔵さまに遭遇することもよくある。
今回はそうやって出会ったお地蔵さまだ。

それが一願地蔵尊。
場所は東京都港区六本木1丁目5のあたり。

赤い前掛けをしていらっしゃるのは珍しくないが、そこには「アークヒルズ」と書かれている。
かなり珍しいタイプだ。
アークヒルズとなにか関係があるお地蔵さまなのだろうか。

近づいてよく見ると、けっこう新しい。
いいお顔をしていらっしゃる。
お水やお花なども供えられていて、よくお世話されているのがわかる。
敷地内にはお名前の幟があった。

「一願地蔵尊」とおっしゃるようだ。
この時はお参りをして、後日、ネットで検索したら、すごいお地蔵さまであることが分かった。

お地蔵さまは新旧2体あるそうだ。
この時はわからなかったのだけど、祠に古いお地蔵さまがいらっしゃるようだ。
古いお地蔵さまは、大正時代、大雨でがけ崩れがおきて埋もれてしまったと言い伝えられていたものだそうだ。
それがアークヒルズの再開発で偶然にも掘り起こされたそうだ。
しかし、痛みがひどく、新しいお地蔵さまを隣に置いたのだそうだ。
再開発地域の住民60名が企画して奉納し、当時のデベロッパー会社の社長さんが大半を寄進してできたのが新しいお地蔵さまだそうだ。
「一願」というのは、再開発に携わる人たちが願いをひとつにするという意味で名付けられたのそうだ。
そういうことを知ると、なおさらもう一度手を合わせに行きたくなる。

それにしてもいろいろな理由で我々の前から姿を消すお地蔵さまもあれば、再びこうして我々の前に姿を現すお地蔵さまもいらっしゃるのだね。

さらにもう一体、新しいお地蔵さまの足元に可愛いお地蔵さまがいらっしゃる。
こちらにも手を合わせてみた。
みなさんもぜひアークヒルズあたりに行かれたら、このお地蔵さまに手を合わせてみてはどうだろう。

BACK  NEXT

【引っ越しのお知らせ】
当サイトにて連載中の「お地蔵さんぽ」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

全話が見られるのはnoteだけで、当サイトでの掲載はピックアップとして1~5話と直近の5話の掲載を予定しております。
引き続いてのご愛読、よろしくお願いいたします!

この連載について

初回を読む
人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。