『日本競馬 闇の抗争事件簿』渡辺敬一郎


競馬界は、利権に群がる亡者の巣窟と化した。
崩壊するJRA帝国の全貌を記す!

【本文より】
馬同士の競走自体が、戦いそのものだが、それに携わる人間たちもまた、カネとメンツをかけて火花を散らしている。
これがまた、言葉に表せないような、不透明な澱みである。そして百鬼夜行、妖怪の跳梁である。
この世界の闇は深く、どこまで行っても底に行きつかない。現にいまもなお、泥沼のヘドロのような汚い争いをしていて、今日もスキャンダルが生まれている。この世界を書くということは、まるで、底無し沼に足をとられるようなものなのだ。

【内容】
妖怪の跳梁する競馬界――まえがきに代えて
第一章 JRAと馬主
 巨人・JRAが日本競馬を支配する
 馬主ビジネスの実態
 カネとコネがモノをいう
 臓器移植組織に裏金を献金
 亡霊と独裁
 長続きしなかった賞金天国時代
 日本馬主協会連合会による抵抗
 殺し文句で馬主を籠絡
 馬主優遇の異常な制度
 カネの行方は藪の中
 一般庶民とはかけ離れた馬主の生活環境
 イギリスの馬主事情
 フランス・アメリカの馬主事情
 争いは金銭欲か名誉欲か
 破格の待遇を受ける役員
 農林水産省とJRAの蜜月
 水面下で処理された重要事件
第二章 社台と日高
 独走する社台の生産馬
 社台王国をつくりあげた男
 常人とはかけ離れた金銭感覚
 馬だけではなく、人もつくった
 日高が生産地の雄だった頃
 戦略の失敗が明暗を分けた
 ラムタラの不振が致命傷となった
 JRAは社台の犬?
 社台改革が生産界の悪習を破壊した
 社台を仕切るのは誰なのか
 帝国崩壊の予兆
第三章 個人馬主とクラブ馬主
 日本独特の共同馬主制度
 クラブ馬主をつくった男の戦略
 「シンボリ」も共有馬主
 個人馬主の反撃
 成金馬主が品格を落とす
 クラブ馬主の台頭
 大本命・社台のクラブ馬主の誕生
 転機となったダイナカール
 曲がり角を迎えるクラブ馬主
第四章 美浦と栗東
 厩舎の特殊事情
 厩舎人の給料
 騎手の収入はピンキリ
 競馬記者は敏腕エージェント
 競馬の仕組みを激変させた外厩制度
 牧場での裏取引で調教師が潤う
 ストライキの犠牲になったテンポイント
 調教師はメッセンジャーボーイでしかなかった
 問題山積の美浦トレセン
 意欲にあふれる栗東と無関心な美浦
 カネヘの執着が栗東躍進の原動力になった
 過去にすがる老人がブレーキに
 馬よりも人を優先させる労組の傲慢
第五章 マスコミ
 競馬専門紙が続々発刊されたあの頃
 切っても切れないヤクザとの関係
 名古屋ではローカル紙の一人勝ち
 競馬専門紙受難の時代
 元ヤクザの豪腕社長が陣頭指揮をとった
 社員総出の「流通革命」でシェアトップに
 マルサが入り、贈収賄事件で逮捕
 タレント予想屋は売り上げにはつながらない
 夕刊紙の発刊が痛恨打となった
 競馬ページ独立で『日刊ゲンダイ』が大ヒット
 ラジオ放送の始まり
 聴取率至上主義の醜い争いが展開された
 フジテレビに頭があがらないJRA
 「みんなのケイバ」は誰のためか
 中途半端な「ウイニング競馬」
第六章 中央と地方
 外国人は中央競馬と地方競馬の違いが理解できない
 かつては地方馬のほうが強かった
 正しい姿に戻ったいまこそ適切な運営を
 JRAは地方競馬を見下している
 地方交流の副作用
 生命の水を送る新法ができた
 近隣の競馬場と協力することで苦境を乗り越えられる
 盛岡競馬が廃止を免れる術はあるのか
 地方は末期、中央は危険水域
 地方競馬の第二JRA化構想
 厩舎人が職を失い、路頭に迷う日
第七章 ファンとJRA
 JRAのお客様は誰か
 控除率二五%は高いのか
 イギリスの馬連の控除率は四〇%超
 フランスでは馬券はカフェで買う
 ファン不在のJRAサービス
 後手に回った新馬券導入
 やる気があれば変えられる
 高圧的で根性なしのJRA保安部
 JRAに勝つ方法はない
 はずれ馬券のフォローでファンサービスを

【著者】
渡辺敬一郎(わたなべ・けいいちろう)
1936年、千葉県に生まれる。早稲田大学文学部中退。競馬評論家・大川慶次郎氏に師事し、競馬専門誌「ダービーニュース」編集長を務める。1966年に退社し、執筆活動を開始。
著書には『欧州黄昏競馬』(ミデアム出版社)、『海外競馬に行こう!』(東邦出版)、『ヨーロッパのカフェテラス』(徳間書店)、『最強の名馬たち』『平成名騎手名勝負』『強すぎた名馬たち』『日本競馬 闇の抗争事件簿』など。
電子書籍『名馬の人災史 潰された素質馬たち』『星になった名馬たち 関係者が語る隠された真実25』『競馬の裏事情 疑惑の闇歴史』『日本競馬 闇の抗争事件簿』『強すぎた名馬たち 知られざる惨事の真実』など。

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