トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.35】大木洋食店@浅草

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

大木洋食店@浅草

大木洋食店という老舗の洋食店が浅草にあるのは知っていて、ぜひ行きたいと思っていた。
台東区へ引っ越し、割と早めに訪問した。2014年9月17日のお昼にうかがった。
訪問した様子はブログでも書いている。

入り口にはアーチ型ののれんがかかっている。
やっているということだろう。

先客はなかった。
かなり高齢の男性がひとりで切り盛りされているようだ。
メニューを見るとラーメンなど中華メニューがあったので、それを注文しようか。
「ラーメン」をコールするも、なんだか違うもの注文してくれという雰囲気。

店は店主の生活感がけっこうある。立川談志の写真などが飾られている。
蓮の花の写真をどけると、こんなものが現れる。

本日のランチはオムライスだというのでそれをお願いすると、店主がいきなり外へ出て行った。

隣が八百屋なのだ。店主はトマトを買ってきたようだ。
ほどなくオムライスが到着。

さきほど隣の八百屋で買ってきたトマトが添えられている。
とにかくよくしゃべる店主で、いろいろ話をしてくれた。
このご主人、戦後すぐこの店の従業員になり、先代が亡くなったので、この店を継いだのだそうだ。
最初は出前をやらされていたそうで、そのころラーメンはよく出たそうだ。
とにかく最初から最後までよくしゃべる店主で、とてもお元気そうだった。
お昼時、かなりの時間いたが、他に客はだれも来なかった。

その後、何度か店の前を通りかかったが、のれんが出ているのを見たことがなかった。
ノスタルジックなお店を取材していらっしゃる苅部山本さんにそのことを言うと、もうお店は閉店したとのこと。

食べログでは掲載保留になっている。

大木洋食店 (浅草/洋食)

そうか、閉店か。というわけで、今どうなっているか見に行っていた。それが、2019年5月8日。

実は何も変わっていなかった。これまでもこの景色は何度も見ている。今にも店主が出てきてのれんをかけそうだ。

隣の八百屋さんで聞いたみた。
やはりお店は閉店しているとのこと。。
理由は店主が亡くなったからだそうだ。
どれくらい前かを聞きば4年前とのこと。
僕がうかがって、ほどなくそんなことになっていたのか。
なんだか、間に合ってよかった、オムライスが食べられてよかったとしみじみ思った。
八百屋で、ひと山200円のトマトを買った。
 
 

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当サイトにて連載中の「トーキョー・レガシー・ワンダーランド」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

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この連載について

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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
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【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。