トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.40】ポワ@新橋

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

ポワ@新橋

前回、ニュー新橋ビルにあった喫茶店「サンマルコ」について書いたときに、ちょっと「ポワ」のことにもついてふれたが、もう少し詳しく書いておきたい。

80年代、喫茶店「ポワ」はよく利用した。
後にナポリタンのおいしいお店として知られるようになるわけだが、僕が80年代によく利用していた。
それは普通に珈琲を飲むというよりは取材の場所であった。
当時、『ビッグトゥモロウ』(青春出版社)という雑誌の取材記者をやっていた頃、ビジネス評論家の方を取材するのによく利用した。

たぶん、ビジネス評論家の方がこの喫茶店をよく指定していたのだと思う。
そのビジネス評論家が誰かはまったく覚えていない。

その後、オウム真理教という宗教集団の教祖が「ポワ」という言葉を殺人の意味で使っていたとテレビでやるたびに僕はこの喫茶店を思い出していた。
今はどうなっているんだろうと、90年代に一度訪問したことがある。
たまたま新橋にきたので、ちょっと見てみたいと思ったのだ。

ただし、行ったことは覚えているのだけれど、珈琲だけ飲んだのか、ナポリタンを食べたのかはよく覚えていない。

まだ当時はデジカメで食事を必ず撮影する前で、画像は残っていない。
とすると、1996年ぐらいかな。

2015年にオールアバウトの記事を書くために訪れた。

ナポリタンの聖地・新橋駅周辺のうまい店を食べ歩く

ここのナポリタンは本当においしかった。
これで690円はうれしい。

しかし、先日訪問したときはこんなことになっていた。

ネットの情報によれば2018年10月に閉店したそうだ。

自分でも「ポワ」のようなナポリタンをつくってみたいと、試行錯誤したけれど、なかなかこの味は出せない。
店が閉店してしまうと、その味までなくなってしまうのが悲しい。

僕は町中華探検隊というのをやっていて、消えゆく町中華をめぐっっているのだけれど、喫茶店も同じく消滅しつつある。
喫茶店が消滅するということは、喫茶店のナポリタンも無くなっていくのだ。

さあ、無くなる前に食べに行こうではないか。
 
 

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この連載について

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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。