トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.32】アヅマ@新御徒町

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

アヅマ@新御徒町

新宿7丁目から北上野2丁目に引っ越そうとしていた2014年の初夏。引っ越し前に新しく借りた部屋へベランダの植木などを少しずつ電車で運んでいた。
駅で言えば、都営大江戸線で東新宿駅から新御徒町駅であった。最初は出口が違うので気づかなかったが、素敵な立ち食いそば屋があった。

場所は春日通り沿い。この画像の右側には佐竹商店街という日本で二番目に古い商店街だということをアピールしている昔ながらの商店街がある、
さて、横断歩道の先に見えるのは「スタンドそばうどん」とある大きめのテント。店名だろうか「アヅマ」というカタカナで書かれている。
近くへ行ってみよう。

近くへ行けば二方面の入り口がある。何度か店の前まで行ったがなかなかおなかの具合が合わず入ることはなかった。
実際に入ったのは、引っ越してから1年ぐらいたったころだろうか。
長いカウンターだけのお店だが、その席はほとんど埋まっている。さらに次々とお客が入ってくる。たいていが男性だ。とにかく活気がある。お店の方はけっこう慣れた感じでお仕事をされている。
カウンターの前にあるガラスケースの中にはおいしそうな天ぷらが並んでいた。

悩んだ末、いただいたのは春菊天そば。
いやぁ、おいしかった。しかし、これが最初で最後の訪問となった。
店までは行くのだが、のれんがしまわれていることばかりで、入ることはできなかった。
その後、お店から少し遠い場所に引っ越したこともあってさらに足が遠のいたところ、ネットで2017年12月20日に閉店してしまった。50年こちらで営業していらっしゃったそうだ。

実際、僕が店にやってきたときは更地になっていた。しかし、それは夜で写真もうまく撮れなかった。

それで先日行っていたら、草が生えていた。
こういう店舗跡の更地を見て思うのは、こんな狭い場所でやっていたのかということだ。
あんなに活気があった場所もいまはこうして何もない、まさにレガシーだ。

BACK  NEXT

【引っ越しのお知らせ】
当サイトにて連載中の「トーキョー・レガシー・ワンダーランド」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

全話が見られるのはnoteだけで、当サイトでの掲載はピックアップとして1~5話と直近の5話の掲載を予定しております。
引き続いてのご愛読、よろしくお願いいたします!

この連載について

初回を読む
巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。