お地蔵さんぽ【vol.25】満願地蔵尊@堀切菖蒲園

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

満願地蔵尊@堀切菖蒲園

ここで紹介している地蔵さまのほとんどが、散歩の途中に見つけたものだ。
こちら満願地蔵尊も、この地を散歩する途中に見つけたものだ。
場所は京成電鉄本線の堀切菖蒲園駅の近く。
東京都葛飾区堀切3-6-1。

花が供えられて、よくお世話されているお地蔵さまだということがわかる。
ネットで検索したら、お世話している方のことが書かれていた。
葛飾経済新聞の記事を見つけた。

記事によれば、小室恵子さんという女性が世話人の一人として紹介されている。
恵子さんのお姉さまが50年間ほどお世話をして亡くなり、そのあとを継いでいるのだとか。
記事によれば、恵子さんの他にも世話人は数人おり、例えば頭にかぶせる帽子が古くなれば編み直している人、季節に合わせて着させる服を変えている人など、顔も名前も知らない同士が、それぞれ役割を分担してお地蔵さんを守っている。

やはりいろいろな人たちが地域のお地蔵さまを守っているんだね。
こちらにもお参りの言葉がある。

ここには「御伸言」とあるけれど、ネットなどでは「御真言」あるいは「ご真言」となっていることが多い。
真言(しんごん)とは、サンスクリット語のマントラの訳語だそうだ。

「オン・カカ・ビサン・マエイ・ソワカ」

と、手を合わせ、願いを込めて、三回から七回唱えるといいそうだ。
こういうことが書かれている地蔵尊はけっこうある。
しかし、僕はこちらのお地蔵さまの最大の特徴はこの顔にあると思う。

僕が初めてこのお地蔵さまと出会ったのが、2014年9月9日だった。
このお顔を見て思い出したのは、スペインでおばあさんが勝手に教会の壁画を修復した、あの顔にどこか似ているように思えた。
勝手に修復した絵があまりにもおもしろいと、世界中でニュースになり、スペインの教会に観光客が押し寄せたのが、2012年のことだ。

ひょっとしてそれをねらって、こちらのお地蔵さまもマジックのようなもので、眉毛、目、鼻、口を描いたのだろうか。
たいていの場合は、経年とともに、顔の凹凸もなくなってしまってもそのままにされているお地蔵さまも多いが、こうして顔を描くのは実はありのような気がする。
よく見ると、どこかユーモラスな感じもするけれど、形ではなく、人々の祈る気持ちが大切なのだということを思わせるのが、こちらの満願地蔵尊かもしれない。

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【引っ越しのお知らせ】
当サイトにて連載中の「お地蔵さんぽ」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

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この連載について

初回を読む
人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。