お地蔵さんぽ【vol.53】本然寺@西浅草

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

灯台下(もと)暗しという言葉があるけれど、最近そんな経験をよくしている。
先日、刊行された『ぶらナポ』(駒草出版)も私的ランキングというコーナーがあって、いろいろと近所のナポリタンを食べ歩いていたのだけれど、なかなかいいランキングがつくれないでいた。やはりある程度有名なお店ばかりが並ぶことになってしまった。ところが、〆切間際に入った「SUN」という入谷駅近くの喫茶店のナポリタンをいただいたら、これがおいしくて、この店を1位にすることで、私的ランキングもかなりいいかんじのものになったと思う。

で、お地蔵さんぽという連載もあらかた近所のお地蔵さんを取り上げたかなと思ったのだけれど、まだ近所に素敵なお地蔵さまがいらっしゃった。本然寺という西浅草のお寺に素敵なお地蔵さまがいらっしゃった。
場所は、かっぱ橋道具屋筋に台東区生涯学習センターというのがあるんだけど、その隣に金龍公園というのがあって、その隣になる。昼間は門が開いているけれど、夕方には閉まってしまう、曹洞宗のお寺だ。

名前などがないけれど、よく見かけるスタイルのお地蔵さまだ。母子地蔵とか子育て地蔵という名前が付けられているものが多い。
赤ちゃんを左手で抱いているのだけれど、足元にも子供が2人ほどいる。

お地蔵さまの表情は慈愛に満ちている。手を合わせてお参りをした。
その隣にあるお稲荷様に驚いた。

お菊稲荷という幟(のぼり)がたっています。番町皿屋敷のお菊さんのようです。

番町皿屋敷と言えば、幽霊になったお菊が皿を「いちまーい、にまーい」と数えるという怪談話だけれど、なぜこの場所にお菊さんが祀られているのかはよくわからない。
市ヶ谷近くには五番町という町名があって、そのあたりが番町皿屋敷があったところだが、あくまでもフィクションだから、実際にその屋敷があったわけではないようだ。そこには帯坂というのがある。お菊がこの坂を髪を振り乱し、帯を引きずりながら歩いたという伝説からつけられたそうだ。

赤い鳥居をくぐると、小さな祠があって、お賽銭が置かれていた。僕もお賽銭を置き、手を合わせる。

寺の境内はとても静かだけれど、この裏側が金竜公園になっていて、ときおり子供たちの遊ぶ声がこだましてくる。

これまでまったく知らなかったお菊稲荷。近所だからまたお参りに来ようと思った。
 
 

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当サイトにて連載中の「お地蔵さんぽ」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

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この連載について

初回を読む
人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。