トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.1】僕の九段下ビル@千代田区九段下

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。

* * *

本格的に街歩きを仕事にして10年以上になる。とにかく東京のあちらこちらを歩いて、写真を撮ってきた。
しかし、仕事で使うのはわずかなカットで、ほとんどの画像はどこにも使わないままパソコンのハードディスクの中にある。本連載は、そんな昔の写真を発掘し、時間という点をいくつかつないで線にしてみたいと思ってる。

といわけで、一回目は九段下ビル。かつて、靖国通りぞい、九段駅から神保町へ歩き、俎板橋を渡ったところにあったビルで、最初に見たのは80年代半ば。神保町の編集プロダクションで働いていたときだ。九段下駅から仕事場に向かうときにいつも見ていた。職場の先輩に聞いたら「あのビルは関東大震災の後に建って、空襲を免れたんだよ」と教えてくれた。

古いビルだったけれど、普通にお店なども入っていて、現役感があった。

パソコンのハードディスクを探してみるとこんな写真があった。神保町側から撮った九段下ビルだ。

なにやら巨大な蚊帳のようなもので覆われているのは、壁面からの落下物を防ぐためだろうか。
この写真を撮ったのは、2007年11月22日のこと。次の記事を書くために、神保町から神楽坂、早稲田まで歩いたときに撮影した。

昭和の喫茶店を歩く 神保町神楽坂散歩 (全文) [散歩] All About

1階には飲食店などいろいろなお店もあったが、このころすでに閉店してしまったお店もあった。

まだがんばっているお店もあった。

食べログがありがたいのは閉店したお店もちゃんと残しておいてくれることだ。

https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13044656/

東京珈琲というお店だ。写真を見ているうちに、あ、このお店、行ったことがあるぞって、記憶がよみがえってきた。

僕は『STUDIO VOICE』という雑誌で、2000年から2001年にかけて、1か月間毎日同じものを食べるという連載をしていた。
2000年の11月は毎日、いろいろな店のオムライスを食べた。11月27日に東京珈琲で連載の担当だったS氏とオムライスを食べている。
その時の外観の写真がこちら。

東京珈琲はテントの色が2000年は青い。九段下ビルの全景は撮っていないけれど、まだ現役感がある。100円ショップなんかがあった。

2012年にはビルが解体され、更地になった。2014年2月2日に撮影した写真があった。

九段下ビルの敷地がわかっていいかもしれない。

そして、この原稿を書くために再び見に行ってみた。
こんなかんじ。まだ更地だが、草がのびている。
2017年7月5日の撮影。

まだ相変わらず空き地だ。

少しずつ町は変わる。新しい、建物ができると、前になにがあったか忘れてしまうことがある。それらのレガシーを今後つづっていきたい。

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【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。