『船頭の半世紀 後世に捧ぐ、名物釣り船オヤジの「伝承」』芳野 隆


釣り船界の重鎮が語る、釣り船の知恵と、釣り宿料理の真髄。
50年の歴史を振り返りつつ、海釣りの魅力をとことん語る!
未来へのメッセージを記した、人生の集大成たる一冊!

【本文より】
わたしは千葉県の飯岡港で釣り船「隆正丸(りゅうしょうまる)」を営む船頭である。舵(かじ)を初めて握ったのは1968年3月だったから、ちょうど船頭歴50年の節目を迎えたことになる。
漁師からサービス業の「釣り宿」に転じて多くの釣り人とかかわり、恐ろしい津波も二度体験するなど波乱万丈だったが、今はすがすがしい気分で老後を迎えている。
この本は、わたしが船頭として過ごした苦節50年を赤裸々に綴った自伝であり、後世に「海釣りの醍醐味と魅力」を伝え残したいと願う記録でもある。

【内容】
第一章 船出
九人兄弟の末っ子/飯岡の助五郎伝/漁師のタマゴ/あねさん女房/隆正丸の船出
第二章 隆盛のとき
遊漁船一本/新聞社との出会い/宣伝効果/東京通い/連合会の幹事長/わたし的営業/水産庁との戦い/7800万円もの費用を投じた第八隆正丸/宿のサービス/組織の団結/裸女とマダイ/釣り宿と有名人
第三章 海の恵み
フグ釣りに挑戦/若い船頭/追っかけアジ/山立て/船頭の力量がモノをいう/マアジ釣りの真髄/ヒラメの生態実験/ヒラメの歴史/永井さんとの出会い/ヒラメとイワシ/貸し竿に巨大マダイ/少年とヒラメ/マダイの生態/マダイとアイナメ/アイナメ釣りの研究
第四章 海の教え
海の事故/大津波の日/お船様/女性船頭の活躍
第五章 船頭の知恵
海が教えてくれたこと/餌釣りの極意/ハナダイと吾作/コマセ釣りの名人/釣り座と船酔い
第六章 釣り宿流 料理の知恵
キス御殿/シロギス料理/ヒラメ料理/アイナメ料理/パラソル・ヤリイカ料理/マダイ・ハナダイ料理/マアジ料理/メバル料理/フグ料理
第七章 親愛なる者たちへ
女将さんとの思い出/身を粉にして働いてくれた女将さん/お酒と漁師/別れ/魚の悲鳴が聞こえる/災害の予兆/環境の変化による影響
終 章 釣り船オヤジの「伝承」
自然のこと/商売のこと/家族のこと/人生のこと
あとがき これからの釣り船を担う者たちへ

【著者】
芳野 隆(よしの・たかし)
1932年7月3日、千葉県旭市生まれ。17歳のときからまき網船に乗り、1968年から飯岡港で釣り船「隆正丸」を始める。1973年に東日本釣宿連合会(スポーツニッポン新聞東京本社指定の釣り宿)に入り、1985年から幹事長を26年間務めた。
船頭としての信条は「お客様を呼ぶには家族の絆が必要」とし、女性や子どもの船代を半額にしたり、船内に女性トイレや電子レンジを設置するなど、家族をメインとしたさまざまなキャンペーンを打ち出して隆正丸の発展に貢献した。2018年3月、船頭歴50周年を迎えた。

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