巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。
富久クロス@富久町
先日、久しぶりに新宿から靖国通りを市ヶ谷方面まで歩いた。ここは東京マラソンのコースでもある。花園神社を通り越し、しばらく歩くと富久町に出る。久しぶりに富久クロスを見た。
かつて住んでいたシャトレ市ヶ谷の近くには外苑西通り終点があった。上の写真は2019年のものだが、かつての外苑西通りはこの横断歩道までで、右側の道はなかった。
工事が始まったのは2011年。この年の12月に同じ位置からカメラを向けていた。
富久クロスはまだなにもない。
手前側には公園があった。公園は2つあって、ひとつは金網で覆われている運動場でバスケットのゴールなどがあった。もう一つは傾斜地にあった小さな児童公園だった。
現在の傾斜地は緩やかな坂になっていた。
左側の道路はさきほどの横断歩道の右側の道だ。
壁に緑色の線がある建物がコープみらいで当時から同じようにこの場所にある。ところが、そこへ続く道は新しくなったもの。ここに小さな児童公園があったなんて、想像するが難しい。
2011年7月25日。コープへ下っていく道の樹木などが少しずつ切られていた。右側の緑の線がある建物がコープだ。
公園にはちょっとした遊具やブランコもあった。7月29日の午後、コープへ行く途中、公園に寄ってみると高齢の女性が名残惜しそうにブランコに乗っていた。
2011年7月31日には近隣の子供向けのイベントが行われていた。毎年行われていたようだが、この年で最後になる。
テントには西富久町会の文字が見える。この日は公園一帯は子供たちの歓声がずっと聞こえていた。
その後、どんどん工事は進められ、この一帯は封鎖されて、立ち入ることはできなかった。
公園に限らず、このあたりの路地や民家なども立ち退きが進み、どんどん解体されていった。
再開発というのはこういった小さな公園や路地や民家などを飲みこんでつくられていくんだね。一抹のさみしさもあるけれど、今となっては道は広くなり、歩くのも楽しい街並みになっていた。
2011年初夏の僕はなくなってしまうだろう路地を当時はよく歩き、写真なども撮っていた。ここ一帯に大きなビルが建つことを想像しながら歩き回っていた。
2019年のいま、そのあたりを歩いてみると、その境界線あたりには、たとえばコープのように昔から変わらずに建っている建物もある。新しいものと古いものが合わさった景色にとても不思議な感じになる。
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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。 ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。 真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。 |
【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。