トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.24】つくも@原宿

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

つくも@原宿

新宿に住んでいたころは、北は池袋、西は阿佐ヶ谷、東は水道橋くらいまでは普通に歩いていた。
そして南はといえば、恵比寿くらいまで。
たいてい通る道というのが決まっていて、渋谷方向だと自然に明治通りまで出て南下する。

原宿のラフォーレの交差点を通り過ぎると、昭和レトロな店舗があって、最初はなんのみせだかよくわからなかった。
店が開いているのを見たことがなくて、最初は夜だけの店かなと思っていた。
しかし、店の前をよく見ていると、こんな看板が出ていた。

店の名前は『つくも』。
メニューは「ちゃんぽん」と「皿うどん」だけ。
しかし、驚くべきはその営業時間だ。
月曜日から金曜日の平日の午前11:30~午後1:30迄というところ。
1日たった2時間しか営業していないのだ。
どうりで、これまで開いているのを見たことがなかったわけだ。
それまでこの時間帯に前を通り過ぎてなかったんだね。

というわけで、満を持して、営業時間内にうかがってみた。
満員だった。
少々周辺を散歩し、再び訪れたら、なんと売り切れだとのこと。
まだ午後1:30にはなっていなかったたが、終了だ。
1日2時間どころか、もっと短い営業時間だ。
しかし、店内を見ることができた。
カウンターだけの狭い店で、中年の男性が1人でやっていらっしゃった。

というわけで、2008年12月3日に、12時45分くらいにうかがうと、数名だが行列ができていた。
行列に並ぶと、なんとかちゃんぽんにありつけた。

ワイルドに切られた野菜、でもスープは繊細だった。
ゆかりがかかった小ライスがついてくる。

麺はちゃんぽんとしてはそんなに太くはないけれど、おいしかった。
こりゃ、皿うどんも食べなくちゃとその後も何度かうかがった。
建物の引きの写真も撮ったはずだけれど、見つからなかった。

そして数年前、たまたま原宿に用事があったのときのこと。
そうだ、この時間なら『つくも』に入れるなと向かってみたら、まったく違う建物になってて、驚いた。
その時もたしか写真を撮ったはずだけれど、見つからないので、撮りに行ってきた。

この黒い看板のお店が『つくも』のあった場所。
3軒くらい店が入っていたかな。
食べログは閉店したお店もちゃんと残しておいてくれている。

飲食店も閉店した後に別の飲食店が入ることもあるけれど、こうして建物ごと変わってしまうと、前の店の面影も失われてしまうね。

しかし、今回の『つくも』、写真をもっと撮ったつもりだったけど、まったく見つからなかったのが残念だ。

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【引っ越しのお知らせ】
当サイトにて連載中の「トーキョー・レガシー・ワンダーランド」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

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この連載について

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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。