彼は4月の講演で、投信運用業界に対して「消費者(投資家のこと)の利益を顧みない生産者(投信業者のこと)の論理が横行している」と厳しく非難した。
そこからリートの急落が始まった。
大胆な制度改革や民間人の登用で「最強の長官」と称される金融庁森長官は、安倍首相はじめ官邸の信認は厚い。
菅官房長官と深いつながりがあることは有名だ。
その謎を解くココロは、安倍内閣初期の株高の演出に貢献したことにあると筆者は思う。
もう一人はもちろん黒田日銀総裁である。
巨額の国債を買い入れる異次元緩和を敢行し、円安株高を演出した最大の功績者であった。
その次の功績者が森長官だった。
運用総資産約145兆円という「世界最大の機関投資家」であるGPIFは、安倍内閣発足と同時に運用改革への取り組みを本格化した。
GPIFを管轄する厚労省が、ドラスチックな改革には当初は反対だった。
その厚労省の年金局長と膝詰めで議論し説得に当たったのが金融庁総括審議官だった。
つまり今の森長官だった。
したがって安倍内閣にとっては、日銀の黒田総裁、金融庁の前長官の森氏は株高政策を支えた最大の功労者である。
3年目の続投を固辞した森長官を官邸が遺留したと伝えられているが、事実であろう。
森長官は安倍首相と違って人事を巡る内部の葛藤や対決を恐れないところがあるように見える。
7月はじめに森長官の続投に加え、次官級の金融国際審議官、総務企画・検査の三局長の留任が決まった。
来年の長官人事はもつれるであろうとは、証券幹部や銀行幹部が誰でも感ずることである。
多分、年功序列の慣例を破り、金融国際審議官が長官に昇格するのではなかろうか。
そうすると大蔵省の国際金融局の黒田さんが日銀総裁になった後、似たような経路をたどることになる。
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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