『ヨウムのおせっかい』水田 功


死んだ妻がヨウムに憑依して家族に語りかける。
ヨウムが産んだ無精卵をポケットに忍ばせておけば、強力なパワーが得られる。
その卵は超強力なパワーを与え、そのヨウムは故人からのメッセージを伝える。

【目次と梗概】
序 章 顧問と明子
文芸同人誌『北斗星』の同人会員である山口慎也は、その顧問・清水忍の自宅を訪問した際に娘の明子と出会い、やがて結婚して長女・のぞみと長男・大地を儲けるが、明子はのぞみが中学二年の時にクモ膜下出血で倒れてこの世を去る。
その四カ月後に慎也は職場の独身女性に恋をしてその思いを日記に綴り、その心の動きを日記形式の小説にして『告白』とタイトルをつける。

第二章 サクラと順子
清水家ではサクラという名のヨウムを飼っていて、明子の親友だった棚橋順子は明子が死んでからも時々サクラの世話をしにやって来ていたが、ある日、明子がサクラに憑依してキーボードのキーを嘴でつついて文章で語りかける。

第三章 卵とトモエ投げ
中学二年になった大地がクラスの男子生徒から生意気だと腹を殴られたため、大地は母親を思い浮かべてサクラに悔しさを訴えるが、その際にサクラに触れて刺激したためか無精卵を生む。
この無精卵には恐るべきパワーが秘められていることが分かり、大地の祖母(明子の母)が高速道路上でそのパワーを借りてあおり運転の若者を懲らしめ、そこに突っ込んできた居眠り運転のトラックをトモエ投げで投げ飛ばす。

第四章 卵と自業自得
近所の緑地公園で「若い女性が二人組の男に乱暴されている」と、のぞみから連絡を受けた祖母が卵を持って駆けつけ、男たちが乗っている車を空中に放り投げ、さらに、一人の男の股間をつぶしてから襲われた女性に卵を持たせ、復讐の手助けをする。

第五章 卵とイジメ
大地がクラスでイジメを受けても屈しないため、ついに緑地公園に呼び出される。四人に取り巻かれて「素裸にしてその動画をユーチューブでばらまく」と脅されたため、キレた大地は卵のパワーを借りて手玉にとり、イジメの中心者を逆に丸裸にする。

第六章 顧問と明子のおせっかい
顧問は『告白』の原稿を読んでから三日後に心筋梗塞で倒れてこの世を去る。ところが、サクラがキーボードのキーをつついて顧問と明子の名を名乗り、『告白』のデータ原稿を持って来させて、その日付の最後の箇所にアフォリズムを書き加えていく。それを『告白未遂』と名付けて『北斗星』で発表すると、大きな反響を呼んだ。

終 章 『告白未遂』
 
【著者】
水田 功(みずた・いさお)
昭和27年12月、佐賀県伊万里市に生まれる。
昭和63年7月、『ペネタ型の雲』を鳥影社文庫から自費出版(非売品)。
平成20年3月、『妻は宇宙人』を山中幸盛の筆名で鳥影社から自費出版。
令和2年3月、電子書籍『妻は宇宙人』をkindle版で発行。
 

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