投機の流儀 セレクション【vol.84】高校野球が始まると相場は留守になる?

高校野球が始まると相場は留守になる?

週末のSQ値は一度もその価格が付かなかった所謂「幻のSQ」であり、こういう場合は波乱が待っているというアノマリーがあった。
果然、300安を演じて週末を引けた。

25日線と75日線と200日線とが週末レベルの一か所に固まったと既報で述べた。
今、3本の移動平均が22400円前後に収斂している。
TOPIXの3本の移動平均はその上に株価がある。
いずれにしても、各種の移動平均が一か所に収斂しているという状態は、これは相場の方向感が消えたという象徴だ。
方向感が消えるのは一時の仮の姿である。
この状態は、昨年10月の衆院選挙の時、一昨年11月の米大統領選挙の時にこの現象が出て、「膠着状態は一時の仮の姿であってそれは沸騰相場か冷氷相場かへ、いずれかに動く動意だ」と本稿で述べた、結果は約20%ほど勢いよく上放れた。
2度あることは3度あるとも言うし、柳の下にドジョウは居ないとも言う。
お化けは同じ顔では出てこない、とも言う。
上か下かどっちなん! と性急に回答を出す必要はない。
それは本稿が良く言う「思惟活動の放棄」であって知性の放棄である。
上ばなれる理由は「貨車に積んでやってくる」ほどあるし、下ばなれる背景も同じだけある。
年初から本稿では「今年ほど好悪両材料に富んだ年は近年稀である」と述べ続けた。
いずれにしても1割か2割の動きだろう。
既に3倍近くになったものを1割か2割を追究するということは筆者ならしない。
人それぞれに流儀というものがある。
自分流に行動するのが超長期的に見て誤り少ないだろう。
強いて言うなら、銘柄別に妙味ある個別の動きは常にあるから、資金のゲリラ部隊程度を投じて乗ってみるのは、相場と離れないためにもよいことだと思う。

大手証券会社の株式セミナーでは多分、十中八九は、相場下落への構えよりは乗り遅れることへのリスクを避けることを優先しようと呼びかけるであろう。
その方が耳障りがいいし明るい夏を過ごせる。
老婆心から一言、昔から「高校野球が始まると相場は留守になる」と言われてきたがこの俚諺は必ずしも事実ではない。

変に応じて争わずして勝つ、これで行きたい。

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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