投機の流儀 セレクション【vol.73】銀行の不良資産

銀行の不良資産

銀行の不良資産と言えば、90年から2003年までの「失われた13年」の間に起こった、融資のために担保に取っておいた土地の地価が主要都市では10分の1となり、株は8分の1にまで下がり担保価値がなくなってしまったことを指す。
普通は現代史上はそれを言ってきたが、最近また「銀行の不良資産化」という言葉が使われ出したが、これは次のような意味を持つ。
銀行は13000ヶ所を持つ店舗やシステムが古くなってしまって機能しにくい状態となり、それが経営を揺るがせかねない状態になってきたことを言う。
収益性が下がって価値が目減りした資産の減損処理を迫られ、そのために赤字に転落する銀行が増えてきた。
人口減少で収益期限が細っている上に、金融とITを融合した所謂フィンテックの台頭で設備が陳腐化する。
これにしたがって銀行の固定資産である店舗やシステムが不良資産化している。
この現象に金融庁も監視を強めてきた。
地方銀行などは、自社の設備を慎重に見積もって儲かっていない店舗を減損会計にした銀行もある。
東日本大震災の折に、地元の銀行が大いに活用されるはずだと衝動的に判断して衝動買いした福島銀行の株を衝動買いしたことがある。
結果的には短期間に儲かった。
この福島銀行も「儲かっていない店舗を減損会計した」のだそうだ。
12支店の土地・建物の価値が収益力に照らして査定し直すと4億円減ったという。
同銀行は東日本大震災直後の11年3月期にも実は最終赤字を計上し、株価が上がる状態ではなかった。
しかしこの時は監査法人は一過性のものと判断し、減損会計を免除した。
フィンテックの台頭によって影響受けるのは
地方銀行だけではない。
メガバンクもひとごとではない。
フィンテックの台頭によって三菱UFJも今年3月期に再三店舗を430億円分を減損処理した。
三菱においてそうである。
メガバンクも軒並み減損処理をする結果になってこよう。
このことが話題になりマイナス金利の話題がまた浮かび上がれば、銀行が将来の粗い株だと気軽に話し合っていた「アットホーム・セミナー」(5月19日開催)での話題も現実味を帯びてくる。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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