韓国の遺伝子
本稿では中国と北朝鮮のことばかり述べ、また動画でもその二ヶ国のことばかりを述べており、韓国のことにはほとんど触れていなかった。
しかし、韓国は不思議な国である。
1年間のうちに大統領経験者を二人も逮捕することは世界に例がないであろう。
韓国の歴代大統領は在任中に必ず罪を犯し、退任後は必ず平穏な人生を全うしない。
この事実は一人や二人の例ではないから個々人の資質や言動のゆえではなく、その大統領の地位そのものと制度に問題があるのではなかろうか。
筆者はそのことについてはまったく何も判っていないが、歴代大統領が退任後必ず逮捕されるか自殺するか亡命するかという人生しかないのだから、これは個人的資質の問題ではなく制度上の問題であろうと思われる。
これは、19世紀末の朝鮮王朝の歴史と重ね合わせたくなる。
朝鮮王朝は500年以上続いてアジアでは最も長続きした王朝政権であり、そのモデルは中国からとっているのであろう。
科挙制度という秀才を用いる文官優位の官僚制度と君主専制もシステムに織り込まれる朱子学のイデオロギーであり、日本の文明は中国のものを俺たちが伝えたのだという自負、これが半島国家である北朝鮮と韓国の遺伝子であろう。
しかも自分の教えた弟分の日本が自分を超えてしまった、生意気だ、しかも、大戦中には兄貴分たる自分たちを虐めた、許せない、と言うのだろう。
ドイツを見れば米ソによって分断された東西ドイツはイデオロギーの戦いを乗り越えて統一したのは市民である。
ベルリンの壁を破壊したのは戦車でもミサイルでもない。
市民のハンマーであった。
その翌年にベルリンの壁の崩壊の2ヶ月後にベルリンを訪ねた筆者は、西側の「情報」がベルリンの壁を崩した事実を目のあたりに見た。
ベルリンの壁を破壊したのはミサイルでも戦車でもない。
強いて言えば情報である。
そして市民のハンマーである。
これに感動してベルリンの壁の傍らで、煉瓦のかけらの小さいものをお土産として売っていたのを買ってきて今でも大切にしまってある。
これは情報の力というものであり、市民の力というものであった。
朝鮮半島にそれは永久に起こらないであろう。
これは半島国家の宿命でもある。
中国の文明を俺たちが日本に伝えて日本は栄えているのだという半島国家も自負があろう。
しかし、イタリアも半島国家だ。
スカンジナビア半島の諸王国もみな半島国家だ。
だからとて彼らに韓国のような遺伝子はないように思う。
これは中国文明を日本に伝えたのは俺たちだという自意識のせいかもしれない。
そう考えれば沖縄県民が琉球王朝時代からそこに住みついたこと自体が悲劇の原因になったという運命論的な考えにも行きつく。
韓国と北朝鮮との経済力の違い、イデオロギーの違い、制度の違い、これは大いにあるが、韓国そのものの歴代大統領が次々と逮捕され、1年に二人も大統領経験者が逮捕されるような異常な制度がある。
この異常が続くということは大統領就任者の個人の資質ではなく、その制度そのものに問題があるのではないかと事情を知らない筆者はそう思う。
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【著者】
山崎和邦（やまざき・かずくに）
１９３７年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。１９６１年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。１９７４年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、１９８３年同社取締役、１９９０年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の２００１年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。２００４年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『４億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る７つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で４倍儲ける秘訣 投資で負けない５つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった３つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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