「落ちるナイフを空中でつかむ」という曲芸は戒めるべきものだ
2月2日(金)から2月6日(火)までの4日間で日経平均は約2,300円下げた。
その中で特に2月5日(月)と6日(火)の2日間で約1,700円下げた。
2日目の安値を見れば、2日で約2,200円幅を下げたことになる。
そこからようやく2日目の後場に急激に500円以上戻し、3日目の寄り付きは前日安値より約1,000円上で始まった。
こういう乱気流の中で「落ちてくるナイフを空中でつかむ」という芸当を楽しむならば「三場を見よ」という教えがあり、古来、場で三つ目を見過ごして四つ目の場、すなわち大幅下げの二日目の後場で買えという教えがあったので筆者は試しにごくわずかな資金だが6日の日経レバ(1570)を6日の後場の前半に17,700円で買い、翌日7日の朝の寄り付き19,650円で売った。
多少の利益は出たものの、こういうことは「相場を淫するな」(相場に淫されるな)という戒めを破ったことになる。
買った時から結果構わず翌日寄り付きは売ろうとしていた。
たまたま多少の利益が出ただけだ。
損したならばそれは戒めを破った授業料となる。
今回のようにトクした場合は、戒めを破って得た金だから不浄のカネとして受け取らねばならないと思っている。
ここで敢て私事を披露したのはこういうことをやると面白いが、はまり込んで麻薬中毒のようになると結果は知れている。
本稿の基本姿勢は大勢を見て良識で考えられる範囲のことをやっていこうというのが本稿の基本的主張であった。
7日(水)も午前中は急反発したが、その日の日経の朝刊の証券欄には三段抜きの見出しで「落ちるナイフをつかむ」という見出しが出ている。
これは筆者が本稿でも書いたし拙著でも述べたが、急落場面の突っ込みを買う時は「落ちてくるナイフを空中でつかむのだ」の気分でなければ、落ち切ればリバウンドするから安値覚えがあって買えなくなる、買う気ならば落ち行くところを空中でつかむのだと述べたが、これはニコラス・ダーバスの言である。
日本経済新聞はそれを真似て3営業日で2,000円近く下げてくるところを「落ちてくるナイフはつかむな」という意味で「相場を静観せよ」という格言で用いていたが、本来の発祥の起源はこれとは少し異なる。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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