「株価2年で100倍、5年で10倍」について
本稿や拙著で何度も述べた通り、98年にソフトバンクと光通信を200万円で買っておけば、2年間で前者は1億9千万円を超え、後者は2億4千万円を超えた。
約2年で約100倍になった。
その後サブプライム破綻をはさみリーマンショックをはさんだ5年を見ても別の3銘柄は株価10倍になった。
そしてアベノミクス始動以来の2012年11月以降は74銘柄が株価10倍になった(「5年間で74銘柄が10倍になった」という部分は日経新聞1月10日付け夕刊)。
ここで筆者が呼びかけたいことは、こういう銘柄を発掘するために努力しようということでは決してない。
光通信を200万円で買ったとしても300万~400万円になれば喜んで売っているはずだし、2億4千万円になって喜ぶ人は2億円になってから買った人なのだ。
普通の人はそういうものだ。
株価が10倍になったものが74銘柄あるといっても10倍になるまで持ち切れる人が「普通の人」に何人いるであろうか。
こういう銘柄を探すのに血道をあげて、そして10倍になるまで売らないのだと決めることが投資家として一番非効率で一番失敗する可能性も多い。
筆者が言うのは10倍でなくてもいいのだ、ということだ。
2~3倍で十分なのだ。
しかも「掘り出し銘柄」を探し出すために血道をあげなくてもいいのだ。
大通りにある、誰でも知っている、世界的に著名な銘柄でいいのだ。
大相場があれば必ず2~4倍にはなる。
トヨタ、日立、メガバンク、野村證券、三菱重工等々数え切れない。
大抵の銘柄なら大底圏内(圏内で良いのだ。
1,2割の誤差は無視しよう)で買えば2~4倍には必ずなる。
それで良いのだ、というのが筆者の流儀である。
人によって資金の性質も違うし流儀も違う。
10倍になる株を探すのに血道をあげるのも、それもまた妙味のあることであり、その事にやり甲斐を感じる人もいるであろう。
それはそれで大いに結構である。
それを批判したりはしないが、そういうものを本道にしていては売買益を重ねる妙味は味わえても金融資産の構築は出来ない、と言っているだけである。
御存知と思うがテキサス、アラスカにゴールドラッシュが起きた時、一番確実に儲けた人は金鉱師でなく彼らが履く丈夫な作業ズボンを大量に安く作って売った男であった。
それがGパンである。
キンを見つけるよりもキンを発掘する人々の行動を見よ、と言うところであろう。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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