投機の流儀 セレクション【vol.34】「7」の付く年は「魔の年」か

(1)ブランクマンデーは87年10月だった。
(2)日本の大規模金融危機(山一、三洋証券、北海道拓殖銀行の三大金融機関が2週間で一挙に破綻した)のは97年11月だった。
(3)アメリカ発の住宅債権バブルの破綻によって、その余波を受けるという余震におびえて急落したのは07年の8月10日以降だった。
(4)87年、97年、07年と3回続いた。
すると17年はどうなるか。

量的緩和政策についてFRBは9月から縮小を開始するという。
12年以降の1.5%から2.5%のBOX圏は「金利の長期停滞レンジ」である。
金利を巡る一番の問題は、インフレ率が目標に達せず、利上げができないことであろう。
BIS(註)は、年次報告で日本に対して、間違った金融バブルにならないように、中央銀行はインフレ圧力が上回らないうちに「大いなる巻き戻し(引き締め)」を行うべきだと主張している。
過度な金融緩和は己の生成と発展を招く。
副作用が大きい金融・財政政策にはこれ以上依存すべきではない、と説く。

(註)BISは中央銀行の国際組織であり、国際決済銀行である。
かつて88年に先進5ヶ国が集まって、BIS規制(別名[8%ルール]を決め、日本の金融機関の貸し出しは自己資産の12.5倍以内にせよ、言い換えれば、貸出金額の8.5%以上の自己資産を持て、という「8%ルール」を決めた、あのBISである。

ついでに述べれば、それが決まったのは83年であり、その前年の87年に、日本の景気循環が第7回から第9回まで3回循環しているにもかかわらず、株価は一方的に上昇し続けたということをもって、株価は景気の先行指。
に値しないとして、株価を景気の先行指標から削除した。
その翌年にBIS規制が決まった。
BIS規制が決まった時は、日本はバブルの8号目で、自己資産などというものは寝ていても増えていた時代だ。
それで90年1月から株価大暴落、90年6月から都心の不動産は大暴落、そのプロセスでも株価を先行指標から削除していたので、為政者も官僚もエコノミストも、この歴史上類のない大暴落を「長期デフレ(失われた20年)」の予兆としての警鐘シグナルであることを感じ取れなかった。
当時、筆者が属する景気循環学会だけは、株価を景気の先行指標に復活させるべきだと毎年主張し続け、日経平均株価が半値以下に下がった後に株価を先行指標に復帰させた。
大いに遅かったが、この措置は妥当であったとしたい。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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