株価が上昇して高額資産保有者の資産が増加したために国民個人の資産格差が広がった。
法人企業統計によれば、利益剰余金は37%以上増えた。
日経平均株価は12年11月、安倍内閣組閣が予測できた時に8665円だったものが2年半後の15年6月には2倍半になった。
家計の株式等保有残高は安倍内閣組閣当時の12年12月に172兆円だったものが、317兆円になっているはずである。
この約145兆円には売買益ではないから課税はされない。
したがって、保有資産は益々格差が増えることになる。
高額資産保有者の資産が増加するということは、税制や政策の問題ではなく、当人の資産運用の能力の差や努力の差によるところが多い。
よくそれを無視して、税制や政治を批判することが知的な考え方であるかのようなファッションがあることは残念なことだ。
元々、1,800兆円以上もある世界随一の個人金融資産のうちの株式投信に占める率が世界一少ない。
2割や3割少ないどころではなく、先進諸国の平均の半分以下である。
金融資産を保有する者の能力や資質や意欲に関係してくる部門である。
また、金融資産保有が比較的少ない者「3,000万円未満の4,173万所帯」を対象とする野村総研の調査によれば、2011年から2015年の期間に210万円増加したに過ぎない。
この間に平均株価は2倍半になった。
どんな株を買っていても平均で2倍半になったのだ。
掘り出し物を買う必要はなかったのだ。
ここで筆者は運用者の意識や能力を問題にしたい。
税制や政治の問題になすりつけて、個人の怠慢や無能に免罪符を与えることはほどほどにしたほうがよい。
こういうことを筆者が言うのは、読者の相当部分の人に嫌われ、あるいは反感を買うであろうが、これが筆者のホンネである。
【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
電子書籍を読む!