投機の流儀 セレクション【vol.279】こういう状態の時の賢明な過ごし方

先週末の米国市場では、NYダウは終値3万1261ドル、小幅(僅か+8ドル)だが3営業日ぶりの反発となった。日中安値は3万0635ドルと一時600ドル安からの大引けにかけての戻しとなった。尚、CME日経先物は週末値とほぼ同水準で取引を終えている。

週間ベースでは、NYダウは8週連続の下落で、これは情報会社の記録によってことなるが、リフィニティブによると1932年以来90年ぶり、ファクトセットによると1923年以来99年ぶりの連続下落記録となる。世界恐慌の引き金となった暴落時以来となる。めったにないことだ。

1923年時の米国市場では、その後のNYダウは1929年の世界恐慌を迎えるまでの大きな上昇局面に入っていった。
一方で1932年時は、1929年9月頃から始まった米国株の崩壊、そして1929年10月24日の「暗黒の木曜日」の株価大暴落を起点とした長期下落相場の最終局面にあった。翌年の1933年には第32代大統領フランクリン・ルーズヴェルトによるニューディール政策によって米国市場は大きく上昇していった。

1923年・1932年の両局面とも、その後株価は上昇してったが、現在の局面に当てはめて期待することは時期尚早であろう。
依然として、2009年を起点とした約13年間の長期上昇トレンドに対する終焉としての大きな調整の可能性もあるという危機感を心の中に持ち、その危機の時こそ大胆な行動をできるように、緊張感をもった市場対峙を堅持したい。こういう時の過ごし方が、いざ好機を迎えた時に適切に動けるか否かを決める。
2020年3月19日の「コロナショック1万6500円」を想起しよう。あれから11カ月で平均株価は86%上がった。あの時に自分はどうしたか、機敏にうまく安値を拾いまくったか、もしそうでなかったら、どこに原因があったか、学習しようと呼びかけたい。
 
【目次】
第1部 当面の市況
(1)こういう状態の時の賢明な過ごし方-Ⅰ
(2)当面の市況:こういう状態の時の賢明な過ごし方-Ⅱ
(3)当面の市況:各市場で「恐怖指数」が上昇
(4)NYでは有力ヘッジファンドがハイテク株で1兆円の損失
(5)ND倍率が6ヶ月ぶりの水準に下がった
(6)明るい話と先行き不透明感――東証プライム市場、4年ぶり最高益、36%増
(7)PBRから見れば日本株は割安
(8)当面の市況はグロース株とバリュー株との交互の一進一退
(9)FX投資家が4ヶ月ぶりのドル買い比率高水準
(10)NYガソリン先物が最高値
第2部 中長期の見方
(1)W・バフェット氏、「一世一代の大勝負に出た」
(2)FRBのソフトランディングは可能か?
(3)FRBは利上げを急ぐだろう
(4)米長期金利の上昇一服
(5)「クリーピング・インフレ」
(6)「ロシア弱体化を狙うバイデンの危険な賭け」
(7)プーチンの見え透いた「ハイブリット作戦」
(8)ウクライナ侵攻について
(9)トルコリラが年初来安値
第3部 円安問題
(1)円の実力は「ニクソンショック以来」の低水準
(2)円安問題を考える
(3)日本と海外の金利差の比較(10年国債の金利)
(4)日本の国力低下を売られる円安
(5)再び円安を考える
(6)日本の経済的国力
第4部 問題を先送りして日本を衰弱させた政権

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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