日経平均銘柄の1株当たり純益EPSとPERについてレベルだけから見れば、今のほうが割安だと述べた。従って、一昨年の大天井圏内よりも今のほうがずっと株価は安い。
今回は全銘柄つまりTOPIXについて考える。
一株当たりEPSは予想が101.5円であったのに対して直近の修正値は109.0円である。そのため日経平均2万円の時のPERは、修正前は16倍弱であったが、修正後の現在は14.5倍となる。つまりレベルとしては安いことになる。
2013年アベノミクスの相場が始動して以降の平均PERが14.5倍ぐらいだったと思う。従って大天井圏に比べるとかなり割安なレベルにあることになると思う。
またドル円相場と日経平均との連動は、民主党時代は1ドル円につき日経平均200円、アベノミクス相場は1ドル円につき日経平均250円と言ってきたが、その連動性が薄くなったと昨年本稿で述べた。
が、また連動性が極めて強くなり、しかも「1ドル円当たり日経平均300円」という連動になっている。
以上のEPSとドル円との関係から言えば、EPSが修正後の109.0円、ドル円は108円から115円とすれば、日経平均は下値が18,500円から上値が20,500円と算定することになるが、これはレベルの問題である。
本稿では「レベル」よりも「トレンド」を考える。つまり株価を「動体」としてその方向を見る。方向によってレベルが違うのである。
「ウサギと亀」の話しは陸上での競争の話だった。
これがプール内で行われたらどうか。
やはり亀が勝ったということで結果は同じであろう。
だがそのプロセスで大いに違う。
陸上ではウサギは昼寝をしていて遅れをとった。
プール内ではおそらくウサギが溺死して遅れをとったということになろう。
陸上で昼寝をしている合間に隙を見て勝ちをとったという狡猾な亀は、水中ではウサギが溺れていても救わないでまっすぐに目的地に向かったという非人道的な亀であろう。
つまり、陸上でも水中でも亀が勝ったがそのプロセスに大いに違いがある。
競争相手は陸上では昼寝、プールでは溺死、であった。本稿で述べたいところはこういう差である。
同じ「2万円」でも「上昇過程で黙って素通りして行く2万円」と「2万円まであと2円で届かず」「今度の2万円は違う」と大騒ぎする2万円とは意味が違う。
【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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