投機の流儀 セレクション【vol.22】蛇足――「二見に堕す」と「熟慮断行」

既報で述べたことであるが「一白水星」は「転落なのか大発展なのか、どちらかに決めよ」、というのは本稿がよく言う「思惟の放棄」であり、「知性の否定」であり、「安易な割り切り」である。甲か乙かの安易な二元論に陥ることを禅語で「二見に堕す(にけんにだす)」と言って最も避けるべきところである。
「二見に堕す」の安易さを封鎖して、正解がないかも分からない問いに対して正解に至ろうとして格闘し続ける強靭さが「知性」である。「知能」とは関係はあるが別物である。
この辺の呼吸を判らない者が「当たるも八卦、当たらぬも八卦」などと幼児じみたことを言うのだ。

禅語に「二見に堕す勿れ」という言葉がある。
「二見に堕す」とは、甲か乙かを手早く決めよということで、思惟を放棄しラクになろうということである。
単純に物事を二つに分けて納得してしまう判断力の 貧しさを戒める教えである。「 堕す」、つまり「堕落」は、大きな致命的な失敗を招く。
安易に甲乙を決めることは一見決断早きが如く見えるが実は思考放棄状態を招くということが多い。
安易に2つに別れる事から悲劇が始まる。
一方 を良しとし、他方を悪いと決めつける所から全ての不幸が始まるのだと。
評論家なら「 この人は嫌いだ」で済む、しかし投資,行為なら話は別だ。
「割り切る」というのも思惟行為の放棄であり思考停止である。
これに対して、甲、乙の選択や矛盾相克と格闘し続けたあげく、意図的に思索を中断して(断固として思惟を中断して)行動に移ることを「熟慮の末の断行」という。

【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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