投機の流儀 セレクション【vol.207】1000人の投資家はどう動いたか、及び超富裕層の中の賢人たちの動きと、昔懐かしい「1億総中流時代」

富の二極化、格差の拡大、これは反エリート主義や大衆迎合主義と結びつき、国内に断層を広げて政治も経済も不安定化させる。トランプ時代に富の格差は拡大した。
かつて国際秩序が安定し、経済活動の拡大が繁栄を生んでいた米国覇権の全盛期を「パクス・アメリカーナ(米国による平和)」と呼ばれた時代があった。
今はトランプ時代とコロナによって富の格差は極端に拡大した。が、巨大な富を持つ人々の中にも賢人はいる。米複業企業の総帥チャールズ・コーク氏や米ウォルトディズニーの共同創業者の孫のディズニー氏たちの超資産家約100人が「私たちに増税を。すぐに大幅に恒久的に」と公言している。彼ら巨富を持つ者で賢人である者は、このままで行けばいずれ自分たちにしっぺ返しが来るに違いないという恐怖を持っている。巨富を持つ者の中にも賢人はいるからだ。古代ローマの中でネロのような暴君もいたし、賢帝と呼ばれたアウグスティヌスのような哲人帝王もいた。富める者の中に賢人がいてそのうちの100人が連合して「富める者に増税を」、「大幅に恒久的に」と要求するということは、格差がこのまま拡大すれば我々にしっぺ返しが来る、アメリカがアメリカでなくなる、ということを富める者の一部の賢人たちは承知しているのだ。

コロナ禍で巨大な断層が出現した。約2000人の超富裕層の資産が200兆円増加した。2000人で200兆円の増加である。若林栄四氏は京都大学出身で旧東京銀行で巨大な為替利益を上げた「伝説のディーラー」と言われた賢人であったが、数年前に「この醜悪な格差は市場が天罰を下さなければ収まらない。よってNYダウは今の2万ドルが6000ドルに下がる」と講演でも述べ著書も出していた。結果的には相場の見通しは大いに誤ったが、自由・民主主義・機会均等というような「社会的価値」は格差・富の偏り・それらがもたらす市場の崩壊というような「経済的価値」とをトレードオフの関係で考えてはならない。それは経済学の公理を無視するもので思考停止状態に陥るものである。ここでは社会的価値を述べた。社会的価値と経済的価値を一緒にすると若林栄四氏(★註)のような結論になってしまう。
(★註)筆者は彼を非難しているのではない。相当前から為替ディーラーとしての若林栄四氏を畏敬し、彼のセミナー会員にもなり、講演も何度も聞きに行ったし、彼の著書も全部読んでいる。結果的には相場の見通しはほとんどはずれている。しかし、彼には彼一流の一貫した考え方がある。筆者はそれを買うのだ。

【目次】
はじめに 恒例の日経20著名人のアンケート
第1部 2020年を振り返る。市場は過去を記憶して動く

(1)昨年度を振り返れば・・・
(2)昨年の日米市場
(3)昨年末の姿
(4)年末の様子:過熱感が薄まったところへ薄商いに中での大幅高。値がさ株がリードした11月と異なり12月は大型株の景気敏感株などに資金が流入した
(5)2020年という年は個人好みの銘柄(個人株主が30万人以上いる銘柄)のマイナスが目立った
第2部 菅政権の政局
(1)株高には政局の安定が必須条件だ――菅支持率にデッドクロス生じる
(2)内閣支持率42%に急落、不支持が逆転、デッドクロスが生じた
(3)菅首相の必須の外交最優先事項
第3部 1000人の投資家はどう動いたか、及び超富裕層の中の賢人たちの動きと、昔懐かしい「1億総中流時代」
日経ヴェリタス紙12月27日号で5ページわたる記事のポイントを簡潔に要約する
(2)超富裕層の中の賢人たちの意
(3)「1億総中流時代」と「景気後退期の格差拡大」
第4部 丑年縁起:続き
(1)丑年縁起、Ⅲ
(2)丑年に潜む『つまずき』のリスク
(3)2021年の見通しは過去をなぞらえばこうなる
第5部 その他、スウェーデンの失敗の話しと、これとは無関係だが米国は尖閣諸島を守らないということ
第6部 読者との交信蘭

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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