安倍前首相から菅首相への順当そうに見える「禅譲」にはメデァアには見えない深い闇が潜んでいる。自民党内を丸く収めるために総裁になるまでは菅氏は「安倍政権を継続する」「ポスト安倍」を唱えていたが総理大臣就任後は菅首相は静かに豹変しつつある。これを先持って読んでいたのは麻生副総理であり安倍総理でもあった。首相にとって最も煙たい存在は前首相である。社長が前社長の会長を一番煙たいのと同じである。転勤の多い野村證券において「この支店を立て直すために赴任した」とひとことでも言った支店長は前支店長から嫌われ、前支店長が先輩であるからその評判は広く伝わり、ろくなことはなかった。この例はいくつも見てきた。
政界においても同じである。あれだけ勢いがあった中曾根元首相でさえも「私が就任するまでは日米関係は最悪だった」とひとこと言ったために前任の鈴木善幸元首相は中曽根を深く恨んだ。そして中曽根おろしに暗躍した。しかし、勢いがある者の足を引っ張ると自分が蹴っ飛ばされるから当時勢いがあった中曾根の足を表立って引っ張ることはできなかった。要するに前首相をひとことでも批判したら反対勢力が暗躍する。しかし、前任者の通りにやっただけでは政権交替の意味がない。支店長が交替する意味もない。前任者にあった一部を修正し場合によったら破壊し、それでなければ新しい建物は建たない。中曽根元首相は「首相の狂気が国をつくる」と「自省録――歴史法廷の被告として‐」(★註)で書いている。菅首相にはまだそれだけの勢いがない。
(★註)「自制力‐歴史法廷の被告として‐」(中曽根康弘著、新潮社、2004年刊)
【目次】
第1部 当面の市況:
はじめに
(1)日経平均平均株価は一時、コロナ以来の最高値を示現した週末だったが上昇力の活力は弱い。バイデンが優勢との見方強まる
(2)日本株売買の7割前後を占めてきた海外投資家の動向
(3)トランプ退院で国債売りの株買い
(4)大統領選が済めば菅政権への期待感と落胆の織り交ぜ
(5)当面の市況:
(6)マザーズ時価総額が史上最高を更新
(7)マザーズ・ジャスダックの個々の銘柄について軽々しく推奨することはできないし、するべきでもない
第2部 中長期の重要な見方―景気の見方・政策・流通資金量
中長期的な株価趨勢はⅠ:景気動向(企業業績含む)、Ⅱ:政策、及びⅢ:市場の流通資金量によって決まってくる。この3つについて要約する。
Ⅰ:景気の見方
(1)景気動向指数と株価の反応
(2)景気は低水準ながら「持ち直し」
(3)「街角景気」(景気ウォッチャー指数)、5ヶ月連続で改善
(4)景況感の悪化に歯止め
(5)米景気指標は市場予測を上回った
(6)「世界一の世界景気敏感株」たる日本株
Ⅱ:政局と政策
(1)「菅おろし」の闇の中の機運
(2)大統領選挙と市場
(3)菅新政権の外交姿勢
(4)「堅実型のスガノミクス」
(5)国政の根幹である環境・エネルギー政策
(6)新政権の特徴
(7)「トランプの勝算、バイデンの誤算」
(8)トランプとバイデン、市場に影響する主な要素の要約
(9)アメリカが世界の覇権国であったことは巨大な経済力と軍事力に加えて「理念の合衆国」であったからだ
(10)日本の対中戦略
(11)中長期の見方:
Ⅲ:市場の流通資金量
(1)日本市場の過剰流動性
(2)原油価格の上昇リスク
(3)中期的な需給関係(10月4日号でも述べた)
(4)人民元の3ヶ月に及ぶ上昇傾向は何を示唆しているか
第3部 アベノミクス政策の振り返りと菅政権への期待
(1)アベノミクス政策を再び振り返る
(2)アベノミクスの第三の矢は効かなかった、という筆者の言い分を一部修正したい
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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