アベノミクス大相場は本稿で言う「壮年期相場」の2万900円(2015年夏)までに国内投資家は旨いところは「概ね鍋に入れた」し、外国人投資家は20兆円を買い越した。そこから後は本稿で言う「老年期相場」(2018年10月2日、2万4,270円)までの「夢よ、もう一度」の「老いらくの恋」があり、そこから1年数ヶ月は大型の中間反騰を何度も為したが、遂に老年期相場の天井は、それに迫ったが遂に1円も抜けなかった。その間に外国人投資家は買い越した20兆円の内の殆どを売り越した。海外投資家は安倍政権の「日本変革」を買って20兆円を買い越したが、結果的にはほとんど全部を売り越し、現在は1兆円前後しか残っていない(と思う)。したがって、海外投資家はほとんど全部売り越し、日本株の売買の7割を占めてきた勢力による大きな変動は海外投資家からは当面はない。また、一方で長期政権(「株価工作政権」)による株高の名実ともに終焉、これにより海外投資家が大幅に売り越すということもない。
国内投資家だけでは売買出来高は2兆円未満であり、活況の目途とされる「3兆円」には及ばない。売買金額が2兆円を超えて3兆円ぐらいにならなければ上げでも下げでも本物とは言えない。単なるアヤに過ぎない。
(先週は連日で2腸円を僅かに超えたが)。
コロナ急落前のレベルまで回復した日経平均の上昇を主導したのは所謂グロース株だった。これが世界的に成長株の象徴となっていた米テスラ株が急落したことをきっかけに日本市場のグロース株を先々週から先週にかけて軒並み急落した。米テスラ株が急落したといっても、年明け以来8ヶ月で株価5倍(★註)、時価総額は日本一のトヨタの2倍になったものだから急落するのも無理はない。しかもPERは1000倍を超えていた。もっともナスダックと連動性が高い主な銘柄はPERではとても買えない。例えばエムスリーPER135倍、GMO-PG(PER92倍)、モノタロウ(PER70倍超)、などが先週週初の下落率の高いのものである。
(★註)米テスラの7ヶ月で5倍どころではなく、日本のITバブルの時代は光通信が2年間で120倍(株価2,000円から24万円)、ソフトバンクG株が約100倍(約2,000円→20万円弱)という狂乱状態だった。成長性という将来の「夢」に賭けた場合にPERもPGRも利回りもない。「夢を買うのであるから無限」である。言ってみればその銘柄にだけ青春期相場が訪れたのだ。
【目次】
第1部 当面の市況
(1)当面の市況;週末は3ヶ月に一度のメジャーSQ日だった
(2)景気敏感株の代表たる海運株が上がっている。「バフェット好みの銘柄」との関連で考える。景気敏感株の上昇とバリュー株
(3)米株の下げの影響は限定的
(4)当面の市況:
(5)株式相場の目先の上振れに備える動き
(6)景況感(PMI)、好不況の境目の「50」を下回った
(7)一方調子で上昇してきたNY株に高値波乱の恐れ
(8)自社株を売る経営者が増えている
第2部 中長期的な見方
(1)グロース株だけが迎えた青春期相場の行方
(2)国内機関投資家が慎重姿勢
(3)ジョージ・ソロスの理屈で言えば米株に「ねじれ現象」発生 (4)「株は知っていた」となるのだろうか
(5)世界株の時価総額は8月末で過去最高の9400兆円
(6)ハイテクブームを脱して物色範囲が広がるか――だが、バリュー株相場は次の相場の幕が開かなければ本格相場は来ない (7)米大統領選と株価
(8)財政赤字をGDPと比較することは無意味だ
(9)ふたたび、トランプかバイデンか
(10)みたび、トランプかバイデンか――筆者が支持する人はだいたいは当選しない
(11)米中の「新冷戦」について
(12)大幅安を演じた時、「わが心、弱気の淵に沈むとき」、この項目を思い出していただきたい。一見強気相場に見えるが底流には「行き過ぎた悲観」が横たわっている
第3部 プライベート・エクイティ(PB)
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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