投機の流儀 セレクション【vol.188】Go Toトラベル政策の異常さの背景。政治献金と政策の歪み

新型コロナウイルスの感染が最大に達しているという状況の下で政府が金を与えて旅行を勧めている、このGoToトラベル政策という異常さはどこから来るのか。
「3密」を避ければ旅行は危険ではないから地方の経済を活性化させるという言い分であるが、そのために金を与えてまでも旅行を勧めるのは異常であろう。
これには次の背景があるということになっている。
日本旅行業界5500社の会長に二階幹事長が就任している。そして5700万円の政治献金を受け取っているという(週刊文春7月31日号)。この利権の見返りとして旅行を政府の金で勧めるという。政治が利権と結びつくことは当たり前の常識となっているが、国民の健康や生命に反する形で利権政策を進めるのは異常なことと言わねばならない。
環境相の小泉進次郎はこれに対してひとことも言わない。厚労省も言わない。コロナに対してはテレビ画面では厚労省も環境省も出てこない。小泉進次郎の国政の生命力は環境相就任の時に喪失したと筆者は思っているが、こういう時にGo Toトラベルの不合理さが現れたときに小池百合子ならばこれをジョーカーのカードとして使って必殺のカードを切る好機とばかりに踊り狂うだろう。だが、小泉進次郎にはその頭脳はないし二階幹事長に立ち向かう度胸もない。小泉進次郎は世襲政治家としては四代目であるから「世襲中の世襲」であるが、次期総理や次の次の総理への道は環境相の失敗で完全に閉ざされたと筆者は思う。大体、滝川クリステルを同伴させて官邸に婚約の報告にゆくなんてことは大衆週刊誌ばりだ。閣僚指名中で最も遅れて環境相の指名をした時に安倍首相は、自分の師匠だった小泉純一郎の息子に対して最も意地悪な役割を割り振ったと筆者が本稿で述べたことがあった。そして就任の時の挨拶でそれは暴露された。

以上述べたことの5700万円の政治献金の件は前掲誌によるものであり、名誉棄損(★註)で訴えるならば前掲誌も筆者も対象になるであろう。
御承知とは思うが名誉棄損というのは、その事実があっても指弾された本人が名誉棄損を感ずるならばそれを立証すれば名誉棄損罪は成立する。事実であっても名誉棄損になるのだ。(★註)筆者はオリンパス事件の証人として東京地裁にも高裁にも何度も出たが、その時に検事側の弁護士を「それではまるで法匪ではないか」と言ったことが名誉棄損で相手側弁護士から訴えられた。こちらから反対訴訟を出して高裁まで行って損害賠償はお互いにチャラとなってお金の問題はゼロとなり、訂正文を筆者が出すことでケリがついた。その訂正文の開示範囲ももちろん指定させた。その法廷に出ていた弁護士と検事と判事と傍聴人の特定された人間だけに開示することで条件を筆者が付けそれも判決文の中に入れた。ここで念のためお伝えしておきたいが、名誉棄損罪は事実であってもなくても指弾された人間が名誉棄損されたと思って訴えればそれは名誉棄損罪として扱われる。筆者などはいつ何時、名誉棄損罪で起訴されるかわからない。思った通りを語り、語る通りに書くことを旨としてきた筆者はいつでもそんなことを恐れていたら何も語れなくなる。

【目次】
第1部 当面の市況
(1)急騰の後だけに週明けは弱含み保合で始まろうが2週間ぶりに海外投資家の資金が流入した。その半面、米中対立を意識する動きが局部的には出ている
(2)多くの「一般個人投資家」は高くなれば買いたくなり、安くなれば売りたくなるという傾向を持つ
(3)上場企業、今期見通し6割が減収減益、純利益は36%減
(4)キン急落、NY先物、米金利上昇などで
(5)株価が高値に張り付いている中でもVIX指数は一貫して高止まりしているのは異例の状況
(6)米経済と米株式市場
(7)株価が高値に張り付いている中でもVIX指数は一貫して高止まりしているのは異例の状況
(8)米経済と米株式市場
(9)日米株の連動性が薄れるか――今後も一時的には薄れることは在り得るが本質的にはない
(10)跛行相場(K字型相場)が明暗を分けつつある
(11)国内経済の戻りは鈍く、先行きも慎重な見方 (12)マザーズが1ヶ月ぶりの高値
第2部 中長期の見方
(1)低成長下の日本株式市場
(2)再び経済成長について
(3)米国の対中政策は鮮明に転換した (4)「中国共産党は全体主義の政党である」
(5)中長期の見方;中国の強国路線に厳しい目ジャーナリスト嶌信彦通信より(2020年 8月 11日 vol.233) (6)米雇用の雲行きが怪しくなってきている
(7)バイデンが当選すればどうなるか
(8)Go Toトラベル政策の異常さの背景。政治献金と政策の歪み
(9)19世紀には日本経済はデフレとインフレの間を行ったり来たりしていた
(10)日本の人口減、11年連続減。過去最大減少、生産人口も過去最 低
(11)中長期の見方:人的社会資本
(12)中長期の見方:大恐慌とリーマンショックとコロナ禍
(13)ドル指数が10年ぶりの下落率
第3部 読者との交信蘭
(1)長崎のN様との交信(8月9日)
(2)長崎のNさんへの筆者からの追伸(8月10日)
(3)読者H氏との交信(8月12日)

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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