投機の流儀 セレクション【vol.181】往来相場だと仮定すれば結構とれる

【お詫び】
6月21日号の一部分を、お詫びの上で訂正させて頂きます。

下記は、ゼミ友T氏から来たメール
「ピトケアン諸島、英国の太平洋地区の唯一の領土」と記録にあります。
“フォークランドゆえに英国は環太平洋諸国と見做される”の論理は無理がありそうです。(ref.山崎週報6/21号、第1部(4)バイデン大統領……)。

以下は山﨑;
上記の通り、フォークランド諸島をピトケアン諸島に訂正いたします。
TPPの正式名称は、「環太平洋パートナーシップ」です。名称からすれば環太平洋の国ではない英国は参加できないことになりますが、T氏は前掲のように英国は太平洋地区の領土を持つと言っているし、彼は私と違って正確な人です。一方、外務省筋によると、英政府はTPPの参加条件に地理的な制約がないことを確認しています。「それでは中国も入れるから俺も入れろ」と中国が言ってくるだろうが、そうなっても中国のような透明性のない国はほかの諸国が反対して入れないでしょう。平成初期の日本の対中外交の大過誤、米国の調楽観論の対中外交の過誤(両方とも既報で既述)を、TPPメンバーは見ているはずです。中国を入れたら、中国包囲網ができません。
世界最大の投信運用会社ブラックロック(米)は日本株について「弱気」の見立てを「中立」に引き上げる方向だという(日経ヴェリタス紙6月21日号)。そこの幹部は「日経平均は年内に年初来高値(1月の2万4083円)を上回る可能性は十分ある」と言っているという(前掲紙より)
もし1月高値を抜けば、次は本稿で「アベノミクス相場の大天井」としてきた老年期相場の大天井(2018年10月2日の2万4270円)ということになるであろうが、もしそこまで行ったとしてもその程度では所詮往来相場だ。大相場というのは趨勢的に高値を更新し、結果的には2倍から2倍半にならなければ大相場とは言えない。新しい相場が来た、新しい波動が来たとは言えない。

往来相場ならば1965年から20年間続いたアメリカの「株式は死んだ」“Death of Equities.”の時代は1000ドルを中心に上下2割の往来相場だった。往来相場と言っても結構とれる。米の長い往来相場は、1000ドル中心の上下200ドルだったから800ドル近くを買って1200ドル近くを売れば中勢的にこれの繰り返しで結構この20年間ではとれた。筆者がウォール街に研修に行かせられた時は1972年だったが、まさしく「株式は死んだ」と言われた往来相場の最中であったから彼らは列島改造バブルの日本株に注目し、日立に人気があった。(ヒタチを「ハイタチ」と呼んでいた)しかし、彼らの主流は往来相場の安値を買って往来相場の高値を売るというサンドイッチ相場をうまく泳ぐのが主流であった。

往来相場であっても決してつまらないものではない。むしろその方がとりやすい場合がある。待っていれば安値が来るからだ。そして高値は一回売っておくのが賢明だからだ。年初来高値2万4083円を抜く場面もあるかもしれない。何しろ世界中に過剰流動性が徘徊している時代である。一方、地政学リスクまたはコロナ第2波で急落する場面もあるかもしれない。往来相場と思っていた方が無難であろう。

この「過剰流動性の徘徊する世の中」と「超低金利の世の中」においては資金は株と債券に向かうしかないが債券は超低金利だ。したがって株に向かうしかないということになる。それが長期的な大相場として株に向かうか、あるいは往来相場として株に向かうか、それはあまりこだわらないと方がいいと思う。押し目(ツッコミがあればなお理想的)を買い、上昇したら(吹き値があれば理想的)利をとる。
これをあまり短期ではなく中勢的なタイミングで反復するのが当面の具体的な投資行為であろう。

【目次】
第1部 当面の市況
(1)週明けは売り先行で始まろう。25日線は割るだろうが200日線とのデッドクロスは今週は起きない。マザーズは活況。IT業種とバイオ業種中心
(2)当面の市況;今の市場には弱気も多い
(3)当面の市況は暴騰暴落を繰り返す乱気流相場が続く可能性
(4)IMFの妙な言い方
(5)当面の市況;各国が危機対応のために史上最大の流動性を市場に流している
(6)当面の市況;
(7)当面は往来相場と見る
第2部 中長期の見方
(1)IMFの24日のこのGDP数値が正しいとすれば株価はそれを先取りして上がっているのだということになる
(2)中長期の見方;株価が「経済実勢の近い将来を映す鏡だ」とすれば……
(3)二番底があるとしても浅いだろうが、もし二番底が来るとすればそれはコロナの第2波からではなく、米中対立あるいは米イランの対立などの地政学リスクから来る
(4)「貯蓄病」に陥る恐れ
(5)企業の自社株買いは急減した
(6)往来相場だと仮定すれば結構とれる
(7)「プロに訊く下期相場」
(8)コロナ危機は日本の株式市場の構造を大きく変化させた故「大通り銘柄」「歴史ある大型著名銘柄」の大底圏内を買っておけば必ず儲かるという時代は当面は来ない
(10)二番底が来ると仮定すれば(深いツッコミはなさそうだが)それはコロナ第2波よりも地政学リスクの方が高い
(11)二元論の「二見に堕す」に陥りかねない瀬戸際に居る
(12)グローバリズム(★註)に関する疑義
第3部 「社会的価値」と「経済的価値」とを二項対立で考えるべきではない、ということについて

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
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