投機の流儀 セレクション【vol.173】大手銀行・大手証券の強引営業が引き起こした仕組み債のロックインの危険性――それが現実化すれば再び「阿鼻叫喚相場」

大手銀行・大手証券の強引営業が引き起こした仕組み債のロックインの危険性――それが現実化すれば再び「阿鼻叫喚相場」
既報で述べたが、大手銀行と大手証券が仕組み債というものを販売していた。十数年前、リーマンショック以前にメリルリンチ証券から勧められて筆者も考えたことがあったが、仕組みが複雑でリスクが大きいので筆者は乗らなかった。それ以降仕組み債についてはその将来性に関心は持って眺めてきた。日経平均が2万2000円~2万3000円の頃に1万6000円を割ったならば「ロックインする」仕組み債を銀行は売ったし、大手証券はアメリカ株での仕組み債を売った。株価が販売時の値段よりも3割ぐらい下がるとその時価の株式で返済される。つまり3割ぐらい下がった株で返済される、しかも株数は買った時の株式水準に応じた株数だから返済される株式数は高値水準の発行時点の計算??になるから株数は減る。しかも時価は何割も減っている。膨大な損を受ける。これが「ロックイン」という制度である。したがって、日経平均が1万5000円ぐらいに近付くと仕組み債のロックインが近付く。その時に市場は荒れ狂う阿鼻叫喚とも言うべき有様を呈さないとも限らない。多分8分通りの確率で(この8分通りという数字には根拠はない。筆者が見当をつけて言っているだけだ)それは無いと思うが、大和証券の木野内氏が言っている「二番底は無い」ということは「L字型大底」」「銘柄別なし崩しに大底をつけて1万6500円は再びはない」という意味ならば話しは判るが、彼は仕組み債のリスクについては触れていない。多くのストラテジストや評論家は仕組み債については触れない。タブーになっているのだろうか。

筆者の知人で超アグレッシブな運用を続けていた農林中央金庫は債務担保証券(CDO)と合わせて有価証券評価損が1.5兆円に膨らんで資本基盤が劣化し経営危機に陥ったこともリーマンショック時にはあった。投資家が今保有しているはずの仕組み債は基準価格の20~30%下でのロックインのタイプが主流である。銀行は主として日経平均の仕組み債をつくっている。したがって、日経平均が20~30%下がるとロックインの恐怖が来るとそこに阿鼻叫喚の状態がないとは限らない。ない確率の方がかなり高いとは思うが一応このことは脳裏に据えておくべきである。
 
【目次】
第1部 当面の市況
(1)4月末は一日500円幅以上を上げても新しい相場が始まったわけではない。「Sell in May」を想起する場面もありうる。但し週初は大幅下げはない
(2)NY株、33年前の10月ブラックマンデーの年の春、月間10%を超える大幅高があったが、今年4月はそれ以来の月間11%の大幅高、但しトランプの対中発言で警戒売り
(3)先週は日米の金融政策会議に注目されたが・・・
(4)3月に比べてだいぶ落ち着きを取り戻した金融市場
(5)コロナ禍の副産物銘柄
(6)当面の市況は往来相場か
第2部 中長期の見方
(1)大手銀行・大手証券の強引営業が引き起こした仕組み債のロックインの危険性――それが現実化すれば再び「阿鼻叫喚相場」
(2)「有事」の指導者の真価が問われるとき
(3)「見えない敵」「攻撃の意思なき敵」との「勝者なき第3次大戦」の勃発と継続
(4)ゴルフ会員権大幅安――歴史は繰り返すといわれ、似たことは起きるが「お化けは同じ顔では現れない」
第3部 二番底、三番底あるいは大底を考える
(1)二番底、三番底、または大底 、それを測るものの一つたるPBR尺度
PBR0.8倍~0.9倍(金融危機ゾーン)+
PBR0.8倍~0.9倍(景気後退ゾーン)
(2)コロナ禍が終わっても石油価格が暴落低迷と借金絶拒絶症があるからV字型回復はない
(3)コロナ禍が近い将来をこう変えるだろう
(4)コロナ禍が終息すればインフレ懸念
(5)実体経済の悪化→銀行が持つ不良債権の増加→実体経済の深さと広がりを測る銀行株の動き
(6)コロナショックが襲う銀行の三重苦
第4部 読者との交信
(1)「動画」(4月28日収録)の際の私に対する御質問
「資金の何割ぐらいを現金化していますか?」という御質問への回答の補足
(2)愛媛のM(ちりちり)さんとの「ジャンク債について」の交信(4月29日)
(3)筆者のゼミ友との「コロナ対策について」の交信(4月29日)
 
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
 

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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