投機の流儀 セレクション【vol.15】市場で活躍できれば本業ではもっと活躍できる

筆者は拙著『投機学入門』で、わざわざ一章を割いて読者に呼び掛けた。賢者はベーシックな本業を堅持したうえで投資活動するものだと。
現役のビジネスマンのポートフォリオは必ず自分の年収が中心に据えられていなければ駄目だろう。つまり、ビジネスマンのポートフォリオの最重要投資対象は自分の本業であるべきだ(説教調になるが説教する気はない。本稿の言い分は損得の問題だ)。
しかも本業以外にそれなりの収入があれば「会社人間」にならずに済む可能性も高い。そうなると発想も自在になり度胸もついて本業の業績も上がるものだ。

筆者は自分でやったこともないことを人様に説くほどの自信家ではない。
故に、私ごとながら自分のことを少々述べる。
筆者は三井の会社で部長の時代も18年間の取締役時代も、上司に対して恐れを抱いたことがなく「君の底知れぬふてぶてしさは何処から湧くのか」等と社長に何度も揶揄されて平気だった。
これは「業績をあげていれば文句はなかろう」という開き直りもあったが、本当の理由は、年収に等しいかそれ以上の投資成果があったからだ。

だから投資成果の話は社内では一切しなかった。知れれば神秘性はなくなるからだ。
社長に大いにゴマは摺りながらも底知れぬ陽気と妖気を漂わせていた男、それが筆者のビジネスマン時代の姿であった(その元社長も本稿をいま読んでいるはずだ。いまごろ知ったか、と言いたい)。

投資活動を背景にしたからこそできたのである。そして投資活動もまた本業あってこそ相場好きの筆者もが「相場に淫すること」なく過ごせたのだ。今もそうである。大学院の教授・三社の監査役と顧問という業務を持っていることが幸いしていると思う。

【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

電子書籍を読む!

amazon kindle   楽天 kobo 

BACK  NEXT