市場内部要因から警戒モードは続いている
一挙に1500円下げた日経平均だったが、市場ではここで底をついたという見方は全くないようだ。警戒モードは続いている。
<1>9月末決済のための「45日ルール」によりヘッジファンドの売りが換金続く。
<2>米国の「経済政策不確実性指数」(★註1)は相当程度の高いレベルにとどまっている。
<3>日経平均VIは高止まりしたままである。
<4>以上のような内部要因の他に根本的に強い背景は米中対立の構造である。
(★註1)「経済政策不確実性指数」については本稿で既述したことがあるが、米スタンフォード大学教授らが算出する指数(★註2)であり、これは米主要紙の経済ニュースに否定的な用語が登場した回数を数えて算出する。これから見ると市場は下値警戒感に満ちておる。
(★註2)アメリカでは、ノーベル経済学賞受賞を一番多く輩出したシカゴ大学をはじめとする著名大学の教授たちが、投資・投機のために資する研究を多くしている。日本では未だそんなことをテーマに研究する人は変人と見られている。筆者は勿論その類だが、テーマが珍しいので必ず論文集には掲載される。
以上述べたような心理的要因・市場内部要因・世界経済に不安を及ぼす米中対立、こういうものが並んでいるので8月6日の午前の「三空をあけた急落の底値」をもってしても当面の大底感は全くない。
米国株の需給データから算出する投資家心理指数は、トランプラリーの後現在までの状況は06年(アメリカ通の一部が危険視していただけの一般には広まっていなかったサブプライムローンの危険性がささやかれていた頃)から小泉郵政改革相場の天井圏内の時から08年のリーマンショックの危機を迎えるまでのパターンと極めて類似しているという。8月以降に急落の第二波が来ればリーマンショックと同じことになると言う。
【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)短期なら斬撃圏内に入った6日(火)前場。だが、「手を出して、わかる相場の弱さかな」でもある
(2)市場内部要因から警戒モードは続いている
(3)再度下値を試すか、という見方
(4)しかし、単にチャートから見ればこうなる
(5)短期売買の投資家に明らに選別の変化
(6)今後の円相場
(7)リスク回避資金は円とキンに向かう
第2部 中長期の見方
(1)次の「景気低迷期」こそ、大底を探る機会である
(2)政権と市場とから圧力を受け続けるFRB−収まらない利下げ圧力
(3)世界的な金融緩和は利下げを通じて通貨安競争になる恐れがある
(4)「予防的利下げ」
(5)欧州経済の様子
(6)米中貿易戦争、1ヶ月の短期休戦で再開戦
(7)米中衝突の波紋は途上国の通貨・株価にも波及している
(8)日本にとって「8月15日という日の意味」――8月という月は、とかく何かが起きる月だった
(9)「米中貿易戦争は世界経済を犠牲にする」――短期的にはトランプに牛耳られているNY市場だと言える
(10)米雇用の減速
(11)米経済好調であるにもかかわらず利下げをしたFRB
(12)米の対中貿易は1月〜6月期で13.7%減
(13)「売られた喧嘩を買わない日本外交の不可解」
(14)「『人生100年時代』を下支え。投信長期にシフト」
(15)中長期の見方:米外交方針の基本の変化(米は常に仮想敵を作っての外交だ。仮想敵の変遷は、<1>ソ連→<2>日本→<3>「悪の枢軸」3か国→<4>オバマの仮想敵なしの円満外交→<5>今は中国)
(16)トランプにとって貿易赤字の対象で日本は4番目だ
(17)日韓関係の急速悪化について(「米・英・伊などにポピュリズム政権が幅を利かせ始めた背景」については次週に述べる)
第3部 読者との交信:Hさんとの「トルコリラ債などについての」交信(8月9日、着信:11日返信)
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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