弱含み膠着相場での心得
日経ヴェリタス紙6月2日号によると、「イノベ株を掘り当てる」、副題が「プロが狙う『生活変革』銘柄」という見出しである。
昨年10月2日にアベノミクス大相場の老年期相場大天井を示現した後、型通りその終焉を迎え3ヶ月で約5,500円下がって12月25日に本稿が言う「当面の陰の極」を迎え、その週に本稿で「中間反騰は近い」と述べたが、そこから3,400円上昇し中間反騰を形成した。あくまでもこれは中間反騰であると1~2月から本稿では述べ続けたが、型通りに中間反騰の終焉を迎えて膠着状態に入り弱含みに入った。
この弱含み保合の相場というのは、市場観察者や投資家にとって誠に妙味のないものである。そこでこの「妙味のない期間」に市場から目を離すと次の買うべきチャンスを失う。
妙味のない期間こそ「一足一刀」の間合いをとって市場と対峙していなければならないというのが本稿の主張である。しかし、日経ヴェリタス紙はそういう基本的理念は説かないで、『10年で70倍になったもの』とか「10年で38倍になった銘柄」の実例を挙げて、こういう銘柄を掘り出せと第1面で説いている。同紙も商業新聞だから、それが悪いとは筆者は云わない。
しかし、これは普通の人には出来ない。そういう銘柄を見出したとしても、だいたい2倍になれば喜んで売るものだ。38倍になるまで待つ、あるいは70倍になるまで待つことは普通の人には出来なことだ。
本稿は「普通の人が出来る、誰でも注意していれば出来ること」を述べ立てている。筆者自身が「普通の人」であるからだ。決して「イノベ株を掘り当てる」とか「10年で70倍になる銘柄」「10年で38場になる銘柄」というものを狙うなどということは説かない。
誰でも知っている、国際的優良株で、大相場が来れば海外投資家や年金や大型ファンドが買ってくる、著名銘柄の大底圏内を買って2~3倍になるのをじっと待つのだ。その時、投資家は「日柄という試練」に試される。日柄こそ投資家に対する試練である。これを悠々と乗り切らなければ焦って失敗する。
【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)利上げ期待相場のNY市場
(2)“Sell in May.”の格言通りに5月は空けた
(3)6月初日、この日はPBRが1.03倍になったが……
(4)FRBの利下げ期待から短期筋の空売りの買い戻しの動きがあった模様
(5)弱含み膠着相場での心得
(6)目先の底入れの通念(★註)は、と言えば…
(7)最近の日本株安は「利下げ催促相場」の観を呈した
(8)サンドイッチ相場が続くと見た方が無難であろう
第2部 中長期の見方
(1)中期的な見方――米モルガン・スタンレーの試算等
(2)内閣府の景気判断は4月も「悪化」、一方、政府の景気認識を示す月例報告は「霞が関文学」で「緩やかな回復」
(3)衆参同日選挙と消費増税再々延期――膠着相場が続く真因
(4)米中貿易戦争はエンドレスだが「白人と非白人の闘争」や「文明の衝突論」は禁だ
(5)米国は本当に景気後退に入る
(6)「逆イールド現象」(短期金利>長期金利)の景気先行指標としての信憑性の吟味
(7)米中貿易問題は「摩擦」ではなく「対決」であり「戦争」である――米中貿易戦争
(8)長期投資で著名な、さわかみ・あつと氏(★註)の言い分
(9)原油相場
第3部 政局と政策
(1)衆参同日選挙のシナリオ
(2)安倍首相とトランプ大統領との「密約」「密談」
(3)安倍政権とメディアの問題
(4)安倍政権時代の成果についての批判がファッション化している、これについてのゼミの旧友との交信――私信
(5)「悪い選択」と「大いに悪い選択」
(6)米中貿易戦争におけるイスラエルの動向
(7)ふたたびMMT(Modern Monetary Theory)
(8)ドル円相場の行方
(9)病名診断を誤ったまま処方を実行し続けた日銀
(10)トランプの窮状
第4部 日本の検察と司法についての疑念――「ゴーン氏は明らかに無罪だ」
「検察庁は会計を理解せずに立件した。ゴーン氏は明らかに無罪だ」
第5部 読者との交信
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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