日本の株価の長期的な相対的位置付けと令和時代の再興の可能性
平成時代の30年間を遡ると日本の投資家は毎年▼1.4%ずつ株式資産を減らし、30年間で約3分の1を失った勘定になる。平成元年の大納会で日経平均株価を買って持続したら平成末年の終値では▼43%となる。平成は斯くて終わった。
ところが、直近の10年間を見れば(発射台がリーマンショックの大底だったということもあるが)、年間平均+9.7%を10年間続けたことになり大いに順調だったと言える。安倍政権が集票の大きな資産としているのはこれであろう。現に、株式投資家だけでなく、年金を受ける国民は全員がGPIFの大幅増加で年金原資が潤ったことになる。
一方、米国はS&P500種株価指数の年平均は過去10年間で約13%、20年間で約4%、30年間で約8%というパフォーマンスであった。この30年間で当初の投資額は米国人は9.5倍になった勘定で、日米の結果とは両極端だったと言える(もっとも米の1965年から85年の20年はDeath of Equitiesの時代でその期間は米国株式投資家は20年間は±ゼロだったということになる。
平成元年の日本株の時価総額は米・英・独・仏の合計よりも大きかった。
今は世界の時価総額のウェイトは米が約26%、日本が約8%、英国が約6%弱であり、残る20ヶ国で約24%を占めるという結果になった。
GDPも平成元年には日本は世界の16%を占めていたが、今はただの6%に堕ちた。
平成時代に大きく後退した日本株は令和時代に再興するとすれば、最先端技術の価値創造しかないであろう。
筆者が思うには、何事も小さなものに対して得意なのが日本である。(古い話しだが、ソニーのトランジスタラジオ、現在の日本電産の超小型モーター、ミネチア・ベアリングの超小型ベアリング、未上場ながらYKKのファスナーなど、小さいものは世界を圧している。日本は小さいものが得意なのだ)、日本は「縮み志向」を得意とする。既報で既述したと思うが、石川啄木の「東海の・・・」から始まって「蟹」に至る縮み志向である。現に、これに合わせた特殊技能が日本で育ちつつある。所謂ナノ・テクノロジーである。このようなものではなかろうか。
【今週号の目次】
第1部 当面の市況
はじめにあたって:先週号の一部を、お詫びの上で訂正いたします
第1部 当面の市況
(1)クジラ幕相場と「所詮は中間反騰」
(2)短期投資家が前提とする3条件が崩れた。が、指標面では日本株は依然として割安のままだ
(3)東証マザーズ上場銘柄の信用評価損失率が大きい
(4「波高きは天底の兆し」の信憑性
(5)「売られ過ぎ」の指標続出
(6)6月末に大阪で開催されるG20
(7)一方で下値警戒感が強まった
(8)しいて下値のメドはいくらかと云えば・・・・
第2部 中長期の趨勢
(1)長短金利の逆転現象は景気後退の明確なサインであり株価はそれに先行する
(2)景気判断と株価の景気先行性
(3)NY市場は「三尊天井形成ではなく高値を更新する」という説について
(4)「景気動向指数の6年2ヶ月ぶりの悪化」――本稿5月12日号に“Sell in May.”と述べてきた所以
(5)上場企業3年ぶり減益▼2%、減益は2年は続く
(6)景気判断の重大なトレンド変化
(7)将来の日本株式市場
(8)日本の株価の長期的な相対的位置付けと令和時代の再興の可能性
(9)経常黒字5年ぶり減少
(10)“賢人W・バフェット”の評価――及び、「次の大底」の現れ方
(11)令和に入って連日安いのに意外に大崩れしない訳
第3部 米・中・朝の諸事情
(1)米中貿易戦争の深層――トランプの抱える矛盾相克
(2)米国VS中国
(3)「プワーホワイトの応援団長」としてのトランプと「市場を気にするマーケットマン大統領」との両面を持つトランプのジレンマ
(4)トランプの基本的な枠組みについて
(5)北朝鮮の非核化と体制維持
第4部 その他
(1)東京電力について――柏原原発再稼働は遠のくと見たほうが良い
(2)ポスト安倍は菅官房長官か
(3)DJ-【コラム】市場が創出するリアリティー、関税以上のリスクに(出所:ダウジョーンズ、2019年5月17日)
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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