日本領土、狭い領土がますます少なくなる傾向
北海道の土地の相当部分が中国人の所有になっているという。少々大袈裟な言い方だが、北海道は相当部分が中国領地になりつつあるという。所有権は中国人にあっても主権は日本にあるのだからそんなに心配は要らない、というのが普通の見識であるが、例えば、奄美大島の一孤島に大型客船が停泊できる港を構築し、富裕な中国観光客を呼び寄せて観光立地を目論んだとすれば、当面は観光収入が上がって喜ぶべきことかもしれないが、その土地を中国人が買い占めて中国人の所有するとすれば、主権は日本にあっても国土防衛上の重要な南方拠点が中国の実効支配の土地と化する恐れもある。
日本ほど国土買収について無神経な国はないと思う。昨年、所有者不明地の利用については国外にも開放する制度を創設した。おそらく日本は世界一、所有も利用も規制が緩い国であろう。ものの本(★註)によれば、諸外国は土地防衛策を講じている。外国人の土地所有に対して多くの国では防衛策を講じている。中国・インドネシア・フィリピンがそもそも外国人の土地所有を最初から認めていない。インド・シンガポール・マレーシアは所有を一切認めないということはないが厳しい制限付きである。米国も4割の州が規制をしているという。イギリス・ドイツでは土地売買において国内外の差別はなく、外国人も自由に売買できる。しかしイギリスでは土地売買後の登記は義務付けられている。それゆえ、所有者は特定されている。日本では登記は任意であるから所有者は特定できない場合が多い。ドイツの土地売買には外資規制はないが、所有権制度の登記が義務付けられている。日本とは全く違う。日本ほど領土消失に対して無関心な国はないように思う。竹島に韓国の前々大統領が上陸し、「韓国領土」と書いた碑と写真が写ったことがあるが、これに対して民主党時代の防衛大臣森本敏氏はそれを認めるような言辞をとった。前々大統領のことを「おそらく国内の政治事情からして国外に目を向けさせるために竹島上陸したのであろう。韓国国内の政治情勢に対しては防衛相としては口をはさむ気はない」と言って、その前々大統領の言動を容認した。これは領土放棄に当たらないか。防衛大臣が領土放棄を婉曲に口にした事件になったが、妙なことにこれは少しも騒ぎにならなかった。
(★註)「領土消失、規制なき外国人の土地買収」(宮本雅史・平野秀樹著。前者は産経新聞社編集委員、後者は青森大学教授。角川新書。2018年刊)
【今週号の目次】
(1)日本の投資家はシタタカで「平成ペシミズム」なる30年間の超長期の右肩下がりの長期デフレをうまく乗り切った、と言える
(2)「平成ペシミズム」を気軽に分析すればこうなる
(3)平成になって30年間の「資産デフレ」を旨く乗り切った個人投資家は、次は「近視眼的損失回避行動(★註)」を避けよう、と呼び掛けたい
(4)日経平均は超長期移動平均を昨年12月の急落で下回ったまま半値戻りがあっても未だにそれを超えていない(逆イールド現象との関係)
(5)当面の市況
1:「波高きは天底の兆し」という言い伝えは、こういう時はアテにならない
2-1:先週28日(木)の一時・日経平均400円安の意味
2-2:日経平均の下値警戒感が強まった
2-3:チャート面で見ればこうなる
3:2月の鉱工業生産指数は4ヶ月ぶりに上昇
4:配当権利落ちの金額を当日に越えれば当面株価は堅調というアノマリーが
5:おおむねのリスクが先送り
(6)消費増税について
(7)財政政策は景気回復に効き目があるだけではなく、インフレ率の目標達成などにも効き目がある
(8)金融政策と財政政策の効き目
(9)逆イールド現象(短期金利<長期金利)が起こると景気トレンドが転換する」というアノマリーがある
(10)戦後最長景気?に対する疑義がある
(11)日銀の追加緩和はしばらくはない――これの意味するところ
(12)景気後退を喜ぶ人たち――ポジショントークなのか事実なのか。それを見極めて客観的に伝えるのも本稿の責務の一つである
(13)世界同時減速感が広がる世界経済
(14)市場との対話を志向するFRB、換言すれば市場の顔色をうかがいながら金利政策を変えるFRB
(15)習近平は正念場に来た、これが株式市場に及ぼす影響
(16)来年、トランプ再選はあり得る
(17)原油価格の問題
(18)「何が秋霜烈日か」「何が検察の正義か」の続き
(19)三たび北方領土の件
(20)日本領土、狭い領土がますます少なくなる傾向
【来週以降に掲載予定の項目】
○一見30数年間も上昇持続しているNYダウは、ダウ平均の構成銘柄を入れ替えることによって行われてきた
○基軸通貨米ドルの地位
○正統的な経済学のモデルの中には金融システムが入っていないという問題
○消費税について考えること
○「この道しかない」――安倍首相のフレーズの危険性
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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