景気は循環し、株価は景気循環に先行する
景気に対しては適切な見方と間違った見方がある。それが市場だ。これを客観的に決めるのは内閣府が出す景気動向指数である。しかし我々が取り組む株価はその景気動向指数に先行する。景気動向指数が客観的な正しさを表した時には既に遅い。この問題が筆者が数十年かけてテーマとしてきた戦後15回の景気循環に対する株価の先行性であり、それは正確には31分の25の蓋然性をもって真であると筆者は過去の事実から実証的に検証した。
「経済変動は一方的に発散してしまうものでものでもなく、均衡点に収斂するものでもなく、成長と結びついて循環する景気循環論」(1)と「その景気循環に対して株価は先行する。これは31分の25の蓋然性をもって検証される事実である」(2)、である。
この(1)は20世紀中頃に英国発の経済学をもって理論的に論証され、未だ論破されていない。したがって(2)の命題は真とされる。(2)は戦後日本の15回の景気循環のうちの12回は株価は景気先行性を持ち、今回16回目の景気循環に対しては1ヶ月のタイムリードをもって株価が先行した。したがってリードタイムの差こそあれ31回のうちの25回、つまり約80%の蓋然性をもって真であるとされる。命題(1)と(2)とがともに真であるとき命題(2)は命題(1)の含意とされる。これは論理学上の定律であり例外はない。したがって31分の25の蓋然性をもって株価が景気に先行する。筆者が本稿で何度も述べるし何度も語るのは要約すれば上記の通りである。
【今週号の目次】
(1)昨年10月以降の4か月半の概観
当面の市況:1
当面の市況:2
当面の市況:3
(2)中間反騰の第二幕かと慌てることはない
(3)NT倍率が年初来の高水準
(4)「バレンタインデー縁起」
(5)株価構成の基本である企業業績について
(6)企業業績の外部要因、円高リスクと消費増税
(7)景気は循環し、株価は景気循環に先行する
(8)ふたたび「苦悩する日銀」
(8-2)三たび「苦悩する日銀」
(9)孤立するトランプと対決するフェロー下院議長、揺れるトランプ政権
(10)「壁」が招く米政府の混乱はGDP成長率にも悪影響
(11)2月末に予定される2回目の米朝首脳会談―防衛費分担金で割れる米韓の隙間は北朝鮮につけ入る隙を与える
(12)ふたたびBREXITについて考える
(13)北方領土のこと――先週号(13)の続き
(14)「過ちを正すに憚ることなかれ」の意味での前言撤回と「判断力欠如での二転三転」とは全く別物である
(15)米景気後退か踊り場か、中国景気はどうなるか
(16)野村證券の米株式市場上昇継続説
(17)「失われた20年」期間、弱気一貫して来た武者氏の「失われた20年の終わり(★註)
(18)不動産価格が転換点か
(19)環太平洋のTPP11と日欧EPAの前向きな姿勢
(20)学生時代のゼミの論客H氏との「安部総理への不信感」についての交信(2月11日)
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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