投機の流儀 セレクション【vol.103】ソフトバンクの不振が市場にもたらしたマイナス

ソフトバンクの不振が市場にもたらしたマイナス

18年前の野村の1兆円ファンドと同じである。あれは個人投資家のストックマインドを大いに冷やした。当時の小泉政権の言う「貯蓄から投資へ」の政策を正面からぶち壊す結果となった。今度の2兆6千億円のソフトバンク売り出し1,500円に対して大台を3回変えて1,100円台まで行ったということは、売り出し公募を買った8~9割は個人投資家であろうから、個人投資家のストックマインドを大いに冷やしたであろう。ソフトバンクの公募売り出しは野村だけではなく証券各社のオールジャパン勢ぞろいであったから、証券界全体が自ら相場を冷やした結果となった。
一方、高値でうまく売り逃げたのはソフトバンクGである。この2兆6,000億円を使ってソフトバンクグループは次のステージに進むつもりであろう。
だから筆者は募集中から言ったのだ。筆者にソフトバンクの公募を買うかどうしようかという人に対しては、私ならむしろソフトバンクグループの近い将来の突っ込みを買う。そうすれば、次のステージに上がるための大仕掛けなことを発表した途端に上がるはずだ。現にソフトバンクGの株価は米スプリントを買収した時は3倍ぐらいになったし、英アーム社の件では株価は約2倍になった。この2兆6,000円を使って何かを仕組むはずである。売り逃げされた公募株を買うよりも売り逃げした本体を私なら買う方に考えると、ことある度に答えてきたが。筆者に質問して来た多くの人々の中で約半数はやはりIPOは儲かるものだという先入観があったのか1,500円で買った人が多かったようだ。そういう方々は御自分で決めたことだ。孫さんが悪いわけではない。市況が悪かったのであろうし、斜陽産業の売り逃げに協力するハメになった判断の問題であろう。

【今週号の目次】
(1)当面の市況――今週は売り先行で始まるが自律反騰は近い
中勢的な市況――デッドクロス
外国投資家の売り越し5.3兆円
(2)短期的には売られ過ぎの兆候あり
(3)ソフトバンクの不振が市場にもたらしたマイナス
(4)先週にTOPIXは年初来安値を付けた、よって来年は年足で陰線だという蓋然性あり
(5)世界景気拡大に暗雲の兆し
世界景気・付記;商船三井池田潤一郎社長「米景気ピークアウト懸念」
(6)戦後最長期の日本景気は終盤に来ている
(7)米景気は来年必ず失速する――NY株はそれを先見しているのだ
(8)1500円売り出しのソフトバンク株、1,000円の大台を3回割って1,200円台で当日の大引け、翌日は1100円台もあり
付記;ソフトバンクの上場
(9)アベノミクス第三の矢(成長戦略)に暗雲
(10)2019年はFRB金融政策から相場が変わる
(11)外国筋の約半分を占める欧州筋、欧州事情の概観
(12)欧州景気の減速懸念は日本株式市場根深い影響を与える
ECBの苦悩
(12)欧州景気の減速懸念は日本株式市場根深い影響を与える
(13)日本株の「レベルとしての割安感」は一段と強まる
(14)トルコリラの見通しとリスク
アルゼンチンペソについて
(15)原油価格の動き
(16)トランプ対金正恩――金正恩の方がウワテだ
(17)安倍首相は何をやれなかったか――北方領土問題・拉致問題・改憲
(18)安倍首相が成し得なかったことになろう項目の一つ、改憲
(19)読者Oさんからの「青春期相場というものは新興銘柄も、中小型銘柄も225銘柄や大型株も同じように上昇していくものなのでしょうか」という質問(12月20日)
(20)東電4万株お持ちのA様よりの質問(12月21日)
東電株のAさんよりの返信への返信

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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