朝日新聞社の造語
【ご報告と御礼】
お陰様で、拙稿メルマガが「資産運用の部」で第1位を受賞しました。14日決定の旨、(株)まぐまぐから報告ありました。
多くの読者の皆様のお蔭さまでありました。ここに、改めてご報告いたし御礼申し上げます。
以下は,選者から依頼された「受賞のことば」です。
拝復
「再度最高値を更新することはありますでしょうか。」という御下問の件ですが、最高値とは10月2日の今年最高値を指すとすると、少なくとも「アベノミスス相場」は終わったと私は見ていますから、次の大相場を迎えるまではないでしょう。私はメルマガで10月初めから「ダブルトップだ」と言ってきました。明るい見通しを語る方が皆様には歓迎されるが、私は思った通りを行動し、それを語り、語る通りを書く、ということを信条としてきました。
言うなれば私は文筆家ではなく思索家でもなく敢えて何々家と言えば行動家です。
その辺が他の「評論家」との違いでしょう。
私は前々から「キャッシュポジションを高く保って買い場を待とう」と呼びかけてきました。暗い話しばかり語ると思われるでしょうが、英国の詩人シェリーを真似て言えば、「冬来たりなば春遠からじ」です。春を迎えるには厳冬を通らねばなりません。よって厳冬は私たちが望むものです。
77年から85年まで第8回目、9回目、10回目という3回の景気循環があったが株価は一方的に上がりっ放しだった。
そこで株価は景気の先行指標としては意味がないということで旧経済企画庁が87年に株価を先行指標から削除した。ここに問題があった。大きな問題を引き起こした。日本の国家社会的なダメージを引き起こす原因になったのだ。
その翌年88年にBIS規制が決まった。これはスイスのバーセルで先進5ヶ国が集まって、国際的に活動している銀行は自己資産の12.5倍以内に貸出金額を抑えることに決まった。言い換えると、貸出金額の8%以上の自己資産を持てということなので「8%ルール」と言っている。本学の西原先生は金融論でこれを8%ルールと説明しているが同じことある。
12.5倍までの貸出金額をしろということになった。それが貸し渋りの原因となった。株価は90年から半年間で半値になった。この90年1月4日かから始まった1919年以来の70年ぶりの大暴落を今後の大変な金融不況が起こる予兆である警鐘シグナルであることが読めなかった。官民エコノミストも旧経済企画庁も日銀も政権もそれを読めなかった。
これを大変な問題が起こる予兆であると警鐘シグナルであると当時言ったのは、筆者が所属していた景気循環学会に正式な意見書として提出したけれども無視された。
それから野村総研のリチャード・クー、野村総研の植草一秀、野村総研の田中義一、これが本にも出し警告書も出したけれどもみんな無視された。
株価は90年に半年で半分になった。そして92年に銀行株が一斉に大暴落した。これを宮澤喜一首相だけが大変な問題だとした。しかし、これは中島秘書官によって葬られたし、時の日銀の三重野康総裁によって無視された。そして中島秘書官が無視するどころか黙殺しろと言って軽井沢まで飛んできた。そこに大きな問題が起こった。
普通、日経平均で2倍以上になる大相場は今まで6回あったが、それは1回目は高度経済成長期の半ばにあり、昭和36年の1829円の高値から昭和40年の1,020円まで44%下がって終わった。
次が「いざなぎ景気」で昭和45年の2,250円から1,990円まで下がって25%下がって終わった。
次が高度成長期後半の5,530円、列島改造バブル相場の5,530円からオイルショックによって安定成長・ゼロ成長時代になる、その時3,300円で大底を打った。40%安で終わった。
ところが90年からの暴落は半年で50%安、そして結局は80%安、こうやって株は5分の1に下がった。それでも2001年12月まで株価whiteお景気先行指標として復活させなかった。株価を見ていなかった。そのために大きな問題を起こした。国家社会的な損失を起こした。
これが朝日新聞の造語である所謂「失われた20年」であるが、実際には90年から2003年のりそな銀行に公的資金を注入した、不良債権を処理した2003年3月以降4月で終わっている。だから正確には「失われた13年」なのだ。
先行指標として株価を見ていなかったために景気見通しを混迷に導いて「レベルがまだ高い」と、「世界的に言えばGDPはまだ2番目」だと、「日本経済、日は、まだ高い」という本まで出して、それで政策を根本的に間違えてその後はゼロ%台かマイナスゼロ%台の経済成長がいた。経済成長がなくなったわけである。
経済成長がなくなるということは前年の付加価値の合計よりも減ったということだ。これが経済成長の定義である。GDPが前年よりも減るということは経済成長がマイナスになったことになるから、そうなると公害の処理問題、年金の問題、教育費の問題、こういうものを生み出す国の資産が減って行く。
国の富が減る。
国の富は、90年の1月の暴落前は約600兆円あった時価総額が250兆円に減った。国が持っている資産が減った。したがって公共事業もインフラ整備も減る、老年期の年金も減る、就職率も悪くなる、これが13年続いた。
不良債権が山積みで土地が10分の1になり、株が5分の1になったわけだから担保に取っておいた債権が全部不良債権になって、不良債権山積みで銀行の融資機能が停止した、つまり資本主義の血流が止まった。
そこでBIS規制が効いてきた。資本主義の血流が止まった。それで日本経済が停滞し、社会の雰囲気が停滞し、青少年が無気力になり、世の中も悪くなる。こういう国家社会的な損失を、株価を経済指標を先行指標から外したことによって起こした。これを筆者は一番言いたい。株価を無視または軽視してはならない。これを言うために筆者は理論モデルを吟味し、経済指標を吟味した。そして15回中の12回は株価の景気先行性を明らかにした。理論モデルも経済指標も、これを主張する為であった。
【今週号の目次】
(1)当面の市況
(2)当面の市況と中勢的な見方;1
当面の市況と中勢的な見方;2
(3)市況観測の諸材料
①日銀政策修正の観測は曖昧になってきた
②国内投資家が海外情勢不透明で弱気急増
③米中摩擦・英国のEU離脱の不透明さなどからキャッシュポジション を高める投資家が増えているようだ
(4)市況観測の諸材料
日銀政策修正の観測は曖昧になってきた。
国内投資家が海外情勢不透明で弱気急増した。
米中摩擦・英国のEU離脱の不透明さなどからキャッシュポジションを高める投資家が増えているようだ。
日本の公的マネーが株を買い支えて好景気を演出していることは、大げさに言えば国家資本主義体制である.
(5)当面の市況と中勢的な見方;1
(6)株式市場の中勢的な見方のポイント;2
(7)市況見通しを語る時の態度
(8)後日、市場の大きな混乱や失望につながりかねないトランプ政権の貿易均衡のとらえ方
(9)ハイテク分野で米中が争う構図
(10)欧州事情の要約
(11)「前年末比で年末株高」が6年続いた――年足6本陽線の後は陰線になれば陰線2本続くというアノマリーがある
(12)好景気期間が戦後最長を記録
(13)日銀・FRBが言う中立金利と市場が見ている中立金利との微妙な違い
(14)再び北方領土の問題
・私見、北方領土
・N氏よりのメール(ゼミで同期だった元バンカーからのメール)
・再びN氏よりの便り(13日)
・北方領土問題、要約
(15)先週号9日号の続き――株価を将来の予言に用いることは出来ないという見解(ランダム・ウォーク理論)
・株価を景気先行指標から外したことによって引き起こした国家・社会的な損実
・好況期にも敢て出動する財政政策
・朝日新聞社の造語「失われた20年」
【来週以降に掲載予定の項目】
○安倍首相は何をやれなかったか
○安倍首相は何を残したか
○退任時期が明らかになっている首相の求心力は弱い――時限爆弾を抱えた高値保合相場
○トランプ対金正恩――金正恩の方がウワテだ
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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