少なくとも「潔く投げる」などと云う観念は無しにしたい。言うまでもなく株式市場は現世的なものだ。精神の美学を問うところではない。這いつくばってでも、泥を舐めてでも儲けた者が勝ちなのだ。それ以外の価値観の人は以下の文章は無視していただきたい。
損切りせねばならないとき、それは下記のいずれかであろう。
(1)「企業価値を買った」のではなく「相場を張ったとき」に、想定外の動きが出たら即刻投げるべきだ。このときのナンピンは傷を深くするだけだ。絶対の禁じ手である。歴史に残る大損事件はみな、この禁じ手のナンピン買いによる。
(2)その銘柄が「永遠に」(人によって違うが筆者なら5~6年)内容が良くならないと判明した時
(3)組織が腐っていることが判明した時(著名な例で言えばJAL、以前の三越、鐘紡)
(4)ビジネスモデルは優れているがオーナー社長がマトモでないことをやることが判明した時(一部の高収益企業=オプトエレクトロニクスのように)
(5)彼が生きている間はだめだということが判明した時(一部の老害企業のように)
(6)商品がまちがいなく時流に遅れビジネスモデルの転換ができない(往年の石炭会社・北炭のように)事がは判明した時
(7)罫線から見て高値を買ったということが仔細に罫線を見たら判明した時。
ただ単に減収減益で株価が半値になった、と云うだけならナンピン買い下がりである。
以前に500円で買った物を今は200で買えるというのだから喜んで2倍買い増しする。2日に分けて。そして平均コストを300円にしておいて回復を待ち伏せる。最初の買値に戻れば6割の利益である。
故に「ロスカットシステム」などと云うのは筆者に言わせれば愚行である。また、「いくら以下になったら投げると云う仕組み=逆指値」も愚行である(ただし、「相場を張った」時は別。これは「投資」でななく「勝負事」だから)。
これ以外のロスカットシステムや逆指値は人知の犯す誤りをルールで拘束して逃れようとする安易な精神構造である。
安易な精神構造の者に儲ける資格はない。(筆者自身、自分のことは棚に上げて言う)。
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