お地蔵さんぽ【vol.24】戸塚の3地蔵

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

戸塚の3地蔵

仕事で戸塚へ行く機会があったので、お地蔵さまを探してみることにした。

お江戸日本橋七つ立ち 初上り
行列揃えて あれわいさのさ
こちや 高輪 夜明けの提灯消す

こちやえ こちやえ

この歌をご存じだろうか。
これは、東海道五十三次を歌った民謡だ。

七つ立ちというのは、午前四時ころ、まだ暗いうちに日本橋を出発して、高輪で夜が明けて提灯の火を消したとある。
行列揃えてというのは、見送りの人たちといっしょに歩き始めたということだ。
江戸時代、東海道を旅する人を見送るため、品川まで一緒に歩いたそうだ。
品川で、別れを惜しむということになるわけだ。
その後、旅人は神奈川、川崎、程ヶ谷という宿場を経て戸塚宿までやってくる。

旧東海道には安藤広重の浮世絵があった。
戸塚宿は日本橋から40kmの場所にあり、夜明け前に日本橋を出た旅人はここ戸塚で最初の宿をとることが多かったようだ。
そのため戸塚宿はおおいに賑わった。

江戸方見附跡というのがあった。
見附とは宿場の出入り口のことで、ここには、江戸方面にあった見付だ。
ここから3.5kmに渡り、宿場町が広がっていた。
今も途中にはJRの戸塚駅があり、賑わいを見せている。
その先に上方見附跡があるというわけだ。

道路にはこんなマンホールのふたがあった。

駅伝ランナーたちがこの旧東海道を走っているんだね。

吉田町という住居表示があった。
このあたりにお地蔵さまがいらっしゃるとネットにはあった。
旧東海道の横に小高い丘があって、そこを登っていくといらっしゃった。

地蔵堂にお地蔵さまがいらっしゃる。
立派な地蔵堂でけっこう新しい。

よく見てみよう。

三地蔵だ。
六地蔵というのはよくあるけれど、三というのは珍しい。
それぞれべつの場所にあったものがここに来られたのか、最初から三体がセットだったのかはよくわからないが、中央のお地蔵さまの前のだけ花台や香炉台があるのを見ると、セットのような気もする。
とにかく時代が経過しているお地蔵さまで、お顔などはすり減ってよくわからない。

ネットでこの地蔵について書いている方がいて、中央のお地蔵さまは元禄7年(1694年)と銘があるようだ。
今ではいろいろな交通機関があり、徒歩移動の時代を想像するのは難しいけれど、多くの人がこの旧東海道を歩いていたのではないだろうか。
そんな景色をこのお地蔵さまが見ていたと思うと、なんだかたまらなくなり手を合わせた。
どれだけの人はこのお地蔵さまに手を合わせたのだろうか。
そんなことを考えると、なんだか不思議な気分になってくる。

このあたりは、さすがに歴史の古いところで、お地蔵さまがたくさんいらっしゃるようだ。
また、戸塚へ行ってみたい。

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この連載について

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。