2021年3月から始まった仮称「コロナ相場」は1万6,500円から3万700円まで1.85倍を示現したが、そこが大天井だと本稿では仮定してきている。
しかし、どんな趨勢的な下げ相場でも必ず中間反騰は何度もある。そしてその中間反騰の最後に調整完了の大きなチャンスがある。ここが大底となるだろう。それをどうやって見分けるか。それは日本の景気が収縮期に入った途中である。景気動向指数が「谷」を付ければ既に株は20%ぐらいは反発しているものだ。このプロセスを「不景気の株高」と言ってきた。景気が「谷」をつけてからでは安値覚えという病いにとりつかれるから買えなくなる。そこで景気の収縮期の途中で「落ちてくるナイフを空中でつかむ」のである。落ちていく最中を買う。そしてまたナンピンする。これが大底圏内で買うコツであると考える。少なくとも筆者はそれを実践してきた。大きな間違いはない。但し、掘り出し銘柄とか品薄株や大化けするはずの成長株などに間違いが時々起こる。
そのための参考資料―東証プライム上場企業の3月期最終損益、最新の見通し
株価の変動には森羅万象の諸々の要素が加わるが、言うまでもなく株価の構成要因のファンダメンタルは何と言っても当該企業の決算である。
プライム上場企業の23年3月期の業績見通しについて要約しよう。
9月末時点の最終損益の予想と比較して、①上方修正が会社数で30%強、②据え置きが40%強、➂下方修正が全体の20%という状態である(日経新聞社調査)。 3月期の最終損益は急速な円安が支えとなった。1ドル円安が進むと主要企業の経常利益の押し上げ効果は、22年度は0.1%しかなく、10年前から半減した。しかし、22年4月から9月期の急速な円安の効果は大きく、企業の海外収益などが押し上げられている(大和証券調査)。企業の今期の想定為替レートは現時点で1ドル124円だというから、足元の実勢レートと比べて円高水準を想定している。したがって、円安基調がこのまま続けば業績が上方修正される余地は大きい。
「悪い円安論」が流行っているが、円安によって利益を得た者は儲かったとは言わない。黙って決算に表れる。
そのための参考資料――「米景気後退は来年後半」
シティグループのグローバルチーフエコノミストの言い分を日経ヴェリタス紙から私見を交えずに忠実に要約する。①(本稿で筆者がよく言うところの)ポール・ボルカーFRB議長以来の強烈な利上げサイクルに入ったFRB。②FRBは 景気後退が起こることを認識しているが利上げを続けるほかに選択肢はない。 ③米国は来年後半には景気後退入りするだろう。④しかし、景気後退は比較的マイルドなものになりそうだ。銀行は過去の金融危機の時と比べて財務状況が健全な上、家計も企業のバランスシートも強い。⑤23年中の利下げは無理だろう。⑥日本はコロナ禍前に比べると消費支出が戻っており、景気回復の余地がある。
【目次】
第1部 当面の市況
(1)市況コメント
(2)全体像の中に個別の動きは旺盛
(3)10月いっぱいの日経平均の動き
(4)好決算銘柄に買い、東京市場のストックマインドは生きている
(5)日本株の相対的強さは国内勢にある
(6)著名な為替ストラテジスト7人への緊急為替アンケート
(7)FRB、0.75%ずつ4連続の利上げ
(8)11月8日、米大統領中間選挙
第2部 中長期の見方
(1)株を中長期持続計画で買う局面は如何に判断するのか
〇そのための参考資料――東証プライム上場企業の3月期最終損益、最新の見通し
〇そのための参考資料――「米景気後退は来年後半」
(2)財政規律の批判ばかりしていてもコトは治まらないし始まらない
(3)「分配と成長の好循環」――財政規律の異常を解決する法はこれしかない
(4)日本は衰退途上国か
(5)日本企業は株主に対する配慮は真剣だが社員に対する配慮(賃上げ)への動向は希薄
(6)この30年間に日本が弱くなった背景三つ
(7)黒田総裁の「最後の賭け」が財政インフレの引き金になることはないか?
(8)日本の「失われた30年」は次に中国へ移る
(9)中国経済の衰退―→中華人民共和国そのものの衰退
(10)米国社会の保守対リベラルの溝
(1Ⅰ)財務官の先輩、後輩に酷評される黒田日銀総裁の破綻
(12)近年稀に見る情緒的名演説、野田元総理の安倍元首相追悼演説
第3部 読者との交信蘭
Ⅰ T様との交信(10月30日受信)
Ⅱ 論客H様との交信(11月1日着信)
【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。
なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。
この連載について | |
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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。
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