投機の流儀 セレクション【vol.21】滞留する膨大な個人金融資産

個人金融資産は約1700兆円(名目GDPの3倍)、これは先進国でダントツである。しかもこの保守性もダントツである。株式(投信含む)の比率が個人金融資産の中で10数%としかなく、これは先進諸国の平均の半分以下である。
どこにその原因があるか。それは日本の個人金融資産を保有する層が年配層で保守的だからだとか、投資市場が不備だからだとか、色々なことが考えられるが、5月7日(日)の日本経済新聞の1面記事は「投信不振、迷うマネー」という見出しであり、金融庁長官が強い口調で投信業界の批判を展開したとある。
市場では騒いでいないようだが、昨年度は14年ぶりの凶事が起きた。

「(投信購入額)<(償還額+解約額)」

となった。つまり投資信託全体が純減となった。行き場のない個人マネーが何十兆円も滞留していることになる。

金融庁長官は日本証券アナリスト協会が開いた資産運用のセミナーで強い口調でこう訴えたという。「消費者(投資家のこと)の真の利益を顧みない生産者(投信業者のこと)の論理が横行している。そんなビジネスを続ける社会的な価値があるのが」と強い口調で投信業界の批判を展開したという(5月7日の日本経済新聞の1面記事)。

次から次へと新しい投信が開発され、今は6,000本が乱立している。各投信の価格表が日本経済新聞の株価表の次のページを占めるが、第1市場の上場銘柄数よりもずっと多い。どれがいいのか、どれが効率的なのか、どれが投機性はあるが儲かるのか、どれが利回りは低いが堅実なのか等々、投資家は6,000本の中から選ばなければならないことになる。筆者は元々6,000本もある(第一市場上場銘柄数よりもずぅっと多い)投信の中からそういうものを選ぶ能力は勿論ない。  
 
よって、こうしてきた。
月々の分配金(配当金)の累計額が「タコ配」であることは明白だから、月々分配金の累計額が元本減少額よりも大きく、1割以上の利回りになったという状態の時にはすべて解約することにしてきた。購入してから最低月一度ぐらいは受け取り配当金額の類型と元本減少額との差を比較して1割以上のプラスになれば解約する。(よって計算がラクに済むために各銘柄別に受け取り銀行口座を変えてある。同一銀行同一支店では二つ以上の口座を開けないから、銘柄ごとに銀行を変える、または「山崎屋・山﨑」という名義にしたりする)。 

解約した後3~4割値上がりする場合も多くあったが、それは売った後の株がいくら上がっても自分には関係ないことであって少しも悔しがることではない。自分の方針を行えばいいだけのことだ。
月々の分配配当金が利回りがいいからといって単純に喜んでいる者はその受け取り分以上に元本が目減りしたことに気が付いた時に失敗だったことが判る。この時では既に遅いのだ。こういうことを考えると投資家の不勉強・不熱心にも原因はあるし、提供する側(業者)にも大いに原因はある。

【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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