投機の流儀 セレクション【vol.100】日産自動車の問題は06年のライブドア事件とは大違い

日産自動車の問題は06年のライブドア事件とは大違い

カルロス・ゴーンが日産の再建のために日本に赴任したのは19年前だった。赴任直後に「日産リバイバルプラン」を発表し、2万人の人員削減、5工場の閉鎖、系列にこだわらない調達先の改革、関連会社の思い切った整理などを発表し、企業城下町の衰退などは一切無視,国内を仰天させた。筆者も仰天した。彼は19日に逮捕されてから1週間以上もメディアではゴーンの話しばかりしていた。

彼は、かなりドラスティックなことをやったが1年間でマイナス2兆円をプラス2兆円(だったと思う)のV字型回復をさせ、その劇薬を使った経営手法には日本人経営者たちは震撼した。カリスマ経営と呼ばれ圧倒的な経営手腕と呼ばれ、一面では英雄視されたこともあった。
しかし、彼は元々レバノン人だから、筆者は初めから彼に対する一つの「偏見」を持っていた、そのレバノン人だ。(2300年前の”エコノミック・アニマル:カルタゴ“は、レバノン人が地中海貿易を制覇して対岸のアフリカ側へ渡ってつくった国が古代カルタゴであり現代のチュニジアであった)。
レバノン・シリアの商人はシタタカなこと「ジュー(ユダヤ)以上だ」というので、レバシリの商人を「イレブン」と隠語で呼び、またはジュー(十)に「侵入;シンニュウ」するから「辻さん」などと呼ぶという話しは既述した。
彼はブラジル生まれのレバノン系のフランス人だということになっている。言ってみれば無国籍者である。無国籍者と言えば、よく言えばグローバリスト、悪く言えば日本で言えば無宿者である。
その従来のしきたりや関連に束縛されない独立したやり方がV字型回復を果たしたと同時に経営手腕が決算諸表となって実現した後に彼は完全に権力の毒に侵されていたに違いない。
しかし、ルノーは元々フランスの国策会社でありフランスの象徴でもあった。筆者が中東に旅行したことは何回かあったが、タクシーは100%近くがトヨタであり、タクシー以外は、ドイツの影響を受けているところはベンツだが、フランスの影響を受けているところは全部がルノーかプジョーだった。ルノーこそフランスの象徴なのだ。そしてルノーの筆頭株主はフランス大統領である。このルノーに対する配慮・思惑なども今後絡んでくるのであろう。

但し、この問題をマスメデァが興味本位ととれる騒ぎ方をしている状態に惑わされて大げさに考えることは市場参加者の眼としては誤るであろう。

2006年、堀江貴文氏逮捕のライブドア事件の時にはマザーズ・ジャスダック等の新興市場が一斉に売られた。しかし今回の日産の事件では日産自動車の株価が4~5%下がっただけで他に影響はなかった。無国籍者のグローバリストがおそらく権力の毒に冒されて起こしたであろう一つの事件として市場は捉えているように思う。本来ならば有価証券報告書の虚偽記載であるから上場廃止の要件である。司法取引がなければ西川社長などもあんなに涼しい顔をしていられるわけがない。司法取引というものがどんなものであるか、今度の事件で垣間見たような気がする。ゴーンの自家用ジェット機が着陸した瞬間からメディアは逮捕の瞬間を映し出した。半年以上前から周到に準備した司法取引を伴う捜査の結果であろう。
幸いなことに、市場ではこれをゴーン特有の事件として受け止め、日産の株価自体も少々下げただけで殆ど無影響に近いし、他の銘柄や場味(バアジ)に影響していない。
但し筆者は、ゴーン逮捕は「日本の国策逮捕だ」と「邪推」している。従ってフランス側と大いにモメル恐れがある。これについては次週号で述べる。

【今週号の目次】
(1)当面の市況
①NT倍率、98年以降で最高、これの意味するところ
②モルガン・スタンレー、25日発表のレポートにより6日続伸、但し上げ幅は6日合計で僅か843円
(2)来年の消費増税は過去3回と同じく「四半期GDPはマイナスとなるから株式市場を冷やす」か、または「景気対策の財政出動で追い風となる」か
(3)消費増税の再々々延期の扱い方によっては大相場は完全に終焉を迎える
(4)株価構成の基本が変わる、但し「政策相場」「管理相場」の下値は深くはない=このことが相場の生体反応喪失性を醸成する
(5)今回の相場の特性から見た今後の中勢的な予測
(6)実質GDPは僅かながら下振れリスク
(7)想定外の原油安の影響
世界景気減速を先取りしたNY原油大幅安
(8)原油安と中国株安という外部要因については15年8月後半以降の下降局面と似た面がある
(9)日露交渉、内閣支持率、消費増税についての世論調査
(10)日産自動車の問題は06年のライブドア事件とは大違い
(11)SEG企業—-日産問題が一般日本企業のガバナンス欠如と海外勢に見られることはない
(12)25年万博、大阪開催
(13)景気の循環、株式市場の循環、このサイクルに注目することが最も容易な金融資産構築への道であるということについて。
この項目については極めて本稿の基調として重要だから次週に理論的に整理したい。
(14)トランプが2期目の大統領に当選する可能性が濃い(2020年11月3日の選挙)
(15)米中貿易戦争と日本国自体の存亡
(16)「外交の安倍」の評価
(17)Tさんとの「▲20%を以てトレンド変化と見做す」についての交(18)インド洋で反中国政権が続々(ジャーナリスト・嶌信彦通信
2018年11月19日 vol.108)を要約
(19)「なぜ大国は衰退するのか」
TPP,12月30日に発効決まった真価――(本稿11月4日号(17)の要約)
「なぜ大国は衰退するのか」 (グレン・ハバード他著、久保恵美子訳、
日本経済新聞社刊、2014年刊)要約文責;山﨑和邦

【来週以降に掲載予定の項目】
○来年の株式市況
○四島返還はなるか?
○ゴーン逮捕は国策逮捕だと筆者は見る、よって今後はフランス側とモメル

【重要なお知らせ】
「まぐまぐ!」でご好評いただき、殿堂入りの誉れを賜った「投機の流儀」ですが、このたびピースオブケイクの運営するコンテンツサイト「note」にも掲載する運びとなりました。
それにあたり、あらためて自己紹介代わりにインタビューをしていただきました。
ぜひともご笑覧ください。

https://note.mu/touki

なお、デンショバでの連載は、ピックアップ記事として継続することになっています。
引き続きのご愛読、どうぞよろしくお願いいたします。

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この連載について

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【著者】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年、シンガポールに生まれ、長野県で育つ。1961年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村証券入社。1974年、同社支店長。同社を退社後、三井ホーム九州支店長に就任、1983年同社取締役、1990年同社常務取締役兼三井ホームエンジニアリング社長。退任後の2001年、産業能率大学講師として「投機学」講座を担当。2004年武蔵野学院大学教授。現在、武蔵野大学大学院教授兼武蔵野学院大学名誉教授。投資歴51年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築。晩年は投資家兼研究者として大学院で実用経済学を講義。ラジオ日経「木下ちゃんねる」、テレビ番組「ストックボイス」ゲストメンバー。
著書『常識力で勝つ超正統派株式投資法』『大損しない超正統派株式投資法』など。
電子書籍『4億円投資家直伝 実践 金儲け学 チャンスを逃さない投資の心得39』『スゴい投機家に学ぶ、金儲けの極意12』『名言に学ぶ金稼ぎ法則 世界の賢人が語るカネの真実40』『クソ上司の尻馬に乗る7つの美醜なき処世術 なぜ、イヤなやつほど出世が早いのか』『詐欺師に学ぶ 人を惹きつける技術 仕事に効く人付き合いのポイント44』『投機学入門』『投資詐欺』『常識力で勝つ 株で4倍儲ける秘訣 投資で負けない5つの心得』『会社員から大学教授に転身する方法 第二の人生で成功するための「たった3つ」の必勝ノウハウ』『株式投資の人間学 なぜ、損する株を買ってしまうのか』など。

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