お地蔵さんぽ【vol.36】福徳子育地蔵尊/すこやか地蔵尊@東浅草

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

福徳子育地蔵尊/すこやか地蔵尊@東浅草

町中華探検隊という活動をやっている。昭和のころ創業した個人経営の中華料理屋さん。中華といいながらもカレーライス、カツ丼、オムライスがあったりする。また、中華とはかけ離れた和食の定食、たとえば焼き魚定食もあったりする店だ。

東浅草あたりにある町中華にやってきたら、定休日だった。仕方ないので、他の店にでも行こうかと思い、歩いていたら、道に迷ってしまった。それで見つけたのがこちらのお寺。

最近はお地蔵さまアンテナというか、すぐにお地蔵さまを察知できるようになった。

門のところを見ると浄土宗とある。そして「春慶院」という文字の下に「すこやか地蔵尊」「福徳子育地蔵尊」とあった。

境内に入ってみると、おお、いらっしゃった。

門からまっすぐの方向へ進む。

右が「すこやか地蔵尊」、左が「福徳子育地蔵尊」。

2つのお地蔵さまは対照的だ。すこやか地蔵尊はよくある地蔵のサイズ。奉納された幟が何本もたてられている。たいして、福徳子育地蔵尊はとにかく背が高い。

以前、お化け地蔵というのを紹介したが、こちらの春慶院はそこからけっこう近い。お化け地蔵ほどではないが、こちらの福徳子育地蔵尊も背が高い。下から見上げるとその迫力がよくわかる。

子どもを抱える姿がいいかんじだ。

平日のお昼過ぎ、誰もいない。静かだ。なんの音も聞こえない境内。

その隣には、高尾太夫の墓というのがあった。

お墓といっても細部にいろいろなものが彫られ、おしゃれなかんじ。残念ながら戦災で亀裂が入り、隅が欠けているそうだ。そういうことが、台東区教育委員会が説明してくれている。

この説明によれば、1657年(明暦3年)の正月におこった明暦の大火ののち、幕府は日本橋にあった吉原を浅草日本堤下に移した。それで、こちらが新吉原と呼ばれたのだ。今は日本橋の吉原を知っている人もいないので、「新」って言わなくていいんだけどね。

高尾太夫というのは、吉原の代表的名妓で、この名を名乗った遊女は11人いたそうだ。この墓は、世に万治高尾、あるいは仙台高尾と謳われ、幾多の伝説巷談を生んだ2代目高尾太夫の墓だそうだ。

そういえば、ここは吉原からも近い。お地蔵さまや高尾太夫のお墓にもお参りをして、町中華を探しに春慶院を後にした。お地蔵さんぽ、まだまだ続きます。
 
 

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この連載について

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。