お地蔵さんぽ【vol.27】成子子育地蔵尊@西新宿

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

成子子育地蔵尊@西新宿

周辺がすっかり変わってしまってもお地蔵さまだけが昔からそこにいらっしゃるということがある。
こちらの成子子育て地蔵尊はそんなお地蔵さまだ。

かつては、角筈、柏木という地名だったが、今は西新宿という住所になっている。
青梅街道の成子坂を新宿方向からくだっていく。

成子坂という名前のもととなった成子天神は坂ノ途中、坂北側ににある。

成子坂の金属の説明板があるが、残念ながら、いたずら書きで文字が見えづらい。

 豊多摩郡誌によれば、「成子坂は,成子神社前の緩斜路をいう。石地蔵は其南側にあり、年月を刻せず、古きものとも見えざるが、香火常に絶えず 稚児を喪いしもの供養するところなるにや、傍に庚申塔数基あり、延宝八年(1680)、同五年(1677)の文字を読む、毎月十一日、二十二日はこの石地蔵の縁日、また毎月二十五日は 成子神社の縁日として店多く並び……」とあり、成子坂一円は 非常に賑わったことがわかる。

こうして昔の文献にもお地蔵さまが出ているのがすごい。
この説明板から道を挟んだ場所に今回のお地蔵さまがいらっしゃる。

周囲は高いビルがたくさんある。
その中にお社の屋根が見える。

こちらがが成子子育地蔵尊。
お寺などではなく、独立したお地蔵さまにしては、とてもお世話が行き届いている。

しかも、こちらの成子子育地蔵尊には、概要が書かれた説明板がある。
区の教育委員会が建てているようなものだ。

これによると、建立されたのは享保12年(1727年)だそうだ。
江戸時代、北を向いて建てられたというから、今と同じ方向だ。

その後、天保年間(1831年辛1845年)に再建されたというので、いったんは壊されたか、いなくなったかしたのだろう。
とにかく再建され、それから2百数10年は近郷近在の人々の崇高の対象になっていたのだそうだ。
成子坂の説明板にあった豊多摩郡誌に書かれていたお地蔵さまの様子はたぶんこのころだろう。

ところが、昭和20年に戦災で失われたそうだ。
そして、昭和26年(1951年)に有志たちによって再建されたそうだ。

なるほど、柔和なお顔だ。
お着物を召されているのでよくわからないが、子どもを抱きかかえていらっしゃるのだろう。
子供の頭だけは見える。

その後、昭和46年ごろから、高層ビルが建ち始め、平成14年にこの一帯、西新宿6丁目の再開発もひと段落。
そえを機にお堂も不燃化にされたのだそうだ。
そして、お堂にはこんなものが飾られていた。

すぐ近くにある東京医科大学からの感謝状だ。
これはどういうことだろうかと思ったら、こんな貼り紙があった。

なるほど、いままでもいろいろなところに寄付してきたんだ。
で、今回は小児難病治療技術向上のために東京医科大学に寄付したわけだ。

なるほど、ここに入れられた浄財を寄付しているのだ。
僕もお賽銭を入れて、お参りをした。

それにしてもこのあたり風景はこのお地蔵さまが建立された江戸時代からはずいぶん変わったはずだ。
こちらのお地蔵さまはそれらすべてを見てこられたのだろうと思うと、なんだか感慨深い。

できる限り長くこの場所にいてほしいと思う。
みなさんも西新宿に行かれることがあれば、この成子坂子育地蔵尊にお参りしてみてはどうだろうか。

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この連載について

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。