お地蔵さんぽ【vol.20】江戸六地蔵の三番目

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

江戸六地蔵の三番目

地蔵坂という名前の坂はあちらこちらにある。
お地蔵さまがいらっしゃったので、地蔵坂になったのだろう。
今もお地蔵さまが残っているものもあれば、今はもういらっしゃらないのだが、名前だけ地蔵坂として残っているものもある。

早稲田通りを早稲田から神楽坂方向へ上がっていく坂が地蔵坂という名前で、以前近くに住んでいたので、お地蔵さまを探してみたが見当たらなかった。

入谷に金美館通りという通りがあるのだけれど、なんとも不思議な通りだなと思って、ネットで調べたら、かつて金美館という映画館があった通りで、映画館はなくなってしまったのだけれど、通りに名前が残っている。

今はないが、かつてあった映画館の名前が通りになったというのはいくつもある。
かつては、多くの人が歩き、映画館を中心にいろいろな商店が軒を連ねていたことを想像しながら、今はなんということもない通りを歩いてみるのも楽しい。

町から映画館が消えて久しいが、お地蔵さまは残っているところがけっこうある。
今はお地蔵さまをお参りするのに列をなしてやってくるということはないが、かつてはそんなこともあったのかもしれない。
だからこそ、他のものではない、お地蔵さまが坂の名前になっているのだ。

西日暮里にある地蔵坂も今は人もまばらだが、かつては多くの人が通ったであろう坂だ。
西日暮里駅から諏訪台にある諏訪神社の境内へ上がる坂だ。
江戸時代から地蔵坂と呼ばれていた坂は当時のものとは形状が変化している。

それは鉄道を敷設するために岡が削られてからだ。
今はかなり急な坂になっている。
坂の下は線路をくぐるトンネルになっている。
諏訪坂ガードという名前のようだ。

地蔵坂をから境内に出るが、鳥居をくぐり、もう一度正面から入り、諏訪神社へお参り。

さて、お地蔵さまはどこにいらっしゃるかというと、諏訪神社の別当寺として創建された隣にある浄光寺だ。

門のところに石碑があって、「六地蔵三番目」とあった。
ちょっとわかりづらいけど、こちらがその石碑。

東都六地蔵の三番目の銅造地蔵菩薩立像がこちらにある。
東都六地蔵は1688年~1704年に掛けて空無上人が建立したもので、こちらの像は1691年(元禄4年)に建立された。

もとは門の隣の地蔵堂の中にいらっしって、そこは地蔵前と呼ばれていたそうだ。
こちらは立像だけれど、隣には坐像もある。
銅像地蔵菩薩坐像だ。
江戸の鋳物師として有名だった西村和泉守によるものだ。
建立されたのは1809年(文化6年)。
願主は神田の町人、足利屋勘七の母「浄仙」。
台座には277名の戒名や俗名が刻まれている。

さらに、門を入ってすぐのところには六地蔵がいらっしゃる。

浄光寺は、地蔵信仰のお寺だった。
また、小高い丘にあることで、眺望がよく、別名「雪見寺」とも呼ばれていたそうだ。
日暮里駅側に本行寺というのがあって、そこは「月見寺」と呼ばれている。
江戸の人たちの行楽地だったのだろう。

ちなみに西日暮里駅と日暮里駅は駅間が500メートルで、山手線の駅間でいちばん短いのだそうだ。
ちょっと歩くにはいい距離だ。

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。