お地蔵さんぽ【vol.16】佃天台地蔵尊@中央区佃

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

狭い路地にある佃天台地蔵尊

今回は佃島にあるお地蔵さまを訪れた。
佃島は、佃煮発祥の土地であり。
その地名の通り、もともとは島であった。

かつて徳川家康が摂津の佃(現在の大阪市淀川区)のあたりで、舟がなく困っていたときに、助けてくれたのが佃の漁師たちだった。
それから、佃の漁師たちと家康のつきあいが始まり、江戸へ佃の33人の漁師が招かれる。
隅田川と江戸湾の間にある中州を埋め立てて、そこに居住するようになった。
それが、佃島の始まりだ。
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そういう意味では、ここ佃島は他の地域と違って、独特のポジションを保ってきたのである。

そこにある地蔵尊も独特の場所にある。
民家と民家の間の路地の途中に地蔵尊がいらっしゃるのだ。

狭い路地は、地元の人たちも使っている生活道路だが、知らなければ通り過ぎてしまいそうな、なにげない路地だ。
こんなところにお地蔵さまがいらっしゃるのだろうかと、路地へ入る。

進んでいくと、突然、小さなお堂が現れる。

お堂には、見たことがない光景があった。
巨大なイチョウの樹が本堂を侵食しているのだ。

イチョウは天井を突き抜けている。

さて、お地蔵さまだ。
花も供えられており、地元の人たちに愛されている地蔵尊だということがよくわかる。

しかし、お地蔵さまはどちらにいらっしゃるのだろうかと、探してみると、なんと石に彫られていた。

目を凝らさないとわからないが、後光の射したお地蔵さまのお姿があった。
手を合わせる。
しかし、こういう形のお地蔵さまもいらっしゃるんだね。

ちなみにこんな看板が立っている。

「地蔵尊の御影(オスガタ)がいたんできましたので、長く保存するために手をふれたり水をかけたりしないようにお願い致します」
とあった。
かつては地元の人たちが毎日さわり、水をかけていたのかもしれない。

佃天台子育地蔵縁起というの説明書きがあった。
それによれば、江戸時代の中期に上野寛永寺の崇徳院宮法親王という人が地蔵菩薩を厚く信仰して、自ら地蔵尊像を描き、江戸府内の寺院にたまわり、地蔵尊造立を促したそうだ。
その流れで、上野に浄名院という地蔵尊のお寺ができるのだが、こちらのお地蔵さまはそこからいらっしゃったのではないかということだ。
名前にもある通り、子育て地蔵尊なので、子供を守るのはもちろん、長寿延命、家内安全などにもご利益があるようだ。

狭い路地を通り過ぎると、先ほど突き出ていたイチョウの樹が見えた。

樹齢300年ともいわれている古木は、昔から佃島の人たちの生活を見ていらっしゃったんだろう。
ここは東京の隠れたパワースポットといってもいいだろう。

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この連載について

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。