お地蔵さんぽ【vol.11】吉展地蔵尊

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

吉展地蔵尊

『散歩の達人』2018年1月号で町中華の特集をするので、ずいぶ多くのお店を取材した。
そのなかで、雷門にある生駒軒に取材したときのことだ。
暖簾分けで一時は都内にいくつもあった生駒軒、この店も78番目に出来た店だそうだ。
で、1号店はどこなのかと聞けば、「吉展ちゃん誘拐事件で有名な入谷南公園の前にあったんだよ」とのこと。
おお、あそこの公園が事件の現場だったのか。
ちなみに1号店はそこから人形町へ移転したのだそうだ。

前回、回向院の吉展地蔵に遭遇し、ネットで調べたら円通寺にもあることがわかった。
円通寺の吉展地蔵もお参りしなければと、ちょうど思っていたところだった。

そおれにしても自宅の近くにある入谷南公園が事件の現場だったとは驚いた。
以前から、ここは住所は松が谷で、入谷じゃないのになんでこんな名前がついているんだろうかと思っていた。
こういうことはよくある。
このあたりは、かつて入谷だったのだ。
今は言問通りより北側が入谷なのだが、当時はこの公園あたりまでが入谷だった。

誘拐された村越吉展ちゃんは、公園のすぐ隣が実家で、1963年3月31日に誘拐された。
当時4歳。
ちなみに僕も4歳だった。

というわけで、入谷南公園へ行ってみた。

後年、なつかしいニュース映像として見たのが、後に『気配りのすすめ』というベストセラーを書いた、鈴木健二アナウンサーがここの公園で事件について話していて、その後ろにはコンクリートの小山があった。
それが今もあるのだ。

小原保という時計修理工が犯人だった。
当時30歳。
2年後に逮捕され、死刑判決が出た。
吉展ちゃんは、小原保に公園で誘拐され、その日のうちに殺されていた。
殺された場所は、小原の自供から円通寺であることがわかり、遺体は墓の中に入れられていた。
その円通寺に吉展地蔵がいらっしゃる。
前回は回向院の吉展地蔵を紹介したが、今回はこちら。

YouTubeなどにも当時の映像などがたくさんある。

そんな映像を見ていたら、円通寺の住職が、出てきて、吉展ちゃんの遺体があった場所を説明していた。
その墓の上には、小さなお地蔵さまがいらっしゃった。
寺にもともとあったものをここに置いたのだそうだ。
その後、1966年3月にこのお地蔵さまが建立された。

一方、回向院は村越家の菩提寺で、こちらで荼毘に付されたために吉展地蔵が建立されたようだ。

お参りをしながら、こういう誘拐事件は二度と起こってほしくないと願うのであった。

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この連載について

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。