お地蔵さんぽ【vol.10】首切地蔵@南千住・小塚原刑場跡

人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

首切地蔵@南千住・小塚原刑場跡

上京して、まず行ってみたかった町が南千住だった。
漫画「あしたのジョー」の舞台になっていた泪橋を見たかったからだ。
作中では、丹下段平の「丹下拳闘クラブ」が泪橋の下にあった。
しかし、南千住に行ってみると、泪橋はすでになくなっていて、交差点の名前に残るのみだった。

泪橋は東京に二カ所ある。
品川とここ南千住だ。
いずれも刑場へ続く道で、ここで本人、あるいはその家族が泪するとしてこの名前がついたのだそうだ。
南千住にあった泪橋は、今は暗渠になっている思川という川にかかっていたそうだ。
かつて小塚原刑場があった延命寺には首切地蔵がいらっしゃった。

処刑された人たちの霊を慰めるために1741年(寛保元年)に建立された、高さ約3・6メートルもある、大きな地蔵菩薩坐像だ。
それにしてもなんとも怖いネーミングだねぇ。
たとえ罪人でも、罰を受けて、命を落とせば、救われなければならないということなのだろう。

小塚原刑場は、明治初年に廃止されたが、それまでの間、20万人もの人たちが処刑されたのだそうだ。
処刑後は刑場の周辺に適当に遺体を埋めていたそうで、その数は相当なものだ。
延命寺に接する通りが「コツ通り」という名前なのも、少し掘れば骨が出てくるのでこの名前がつけられたのかもしれない。
お参りをしてみると、なんとも複雑な心境になってくる。

首切地蔵はもともとここにあったわけではなく、1895年(明治28年)に貨物線の施設ののため、いまのところに移されたそうだ。
処刑以外にも、刀の試し切り、腑分け(解剖)などが罪人たちで行われたそうだ。
この首切地蔵もそんな様子をずっと見続けていたのだろうか。
時の流れを感じざるをえない。
刑場の跡地は、宅地や回向院、延命寺などの敷地になったのだそうだ。
延命寺の隣には回向院があって、入り口には吉展(よしのぶ)地蔵がいらっしゃった。

吉展ちゃん誘拐殺人事件といえば、1963年に起こった事件で、4歳の男の子が誘拐されたのだが、ちょうどテレビが普及した時期で、この事件は連日テレビで放送されていた。
身代金を要求する犯人の電話の声がテレビで流されたりしたことで、大いに話題になった事件だった。
しかし、事件は悲しい結末を迎えることになる。
犯人は吉展ちゃんを誘拐した直後に殺害していたのだ。

そんなこともあって、吉展ちゃんのお地蔵さまが建てられたのだろう。
しかし、吉展地蔵はここだけではなかった。
他にもあったのだ。
それはまた次回。

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この連載について

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人々を苦しみから救ってくれる存在として、古くから日本人に親しまれてきたお地蔵さま。
子どもの頃からいつも側にいる、ちょっと不思議な守り神を探す「お地蔵散歩」。
きょうもお地蔵さんを探しながら歩いています。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。